Return To Top
My Own Private Idaho
マイ・プライベート・アイダホ (1991) USA 104min.
Introduction 序盤アウトライン
米オレゴン州ポートランド。アイダホ出身の青年スコットは、親友のマイクや仲間と共に近隣のシアトルにも足を伸ばす男婦として刹那的な日々を送っていた。市長の息子でありながら、その忌み嫌う父親に反抗する為に自堕落な生活を送るマイクに対し、ストレスに直面すると発作的な睡魔に襲われるナルコレプシーを持病に抱えるスコットは、最愛の母親に捨てられた経験をトラウマに背負いながらの崖っぷちの人生を送っていた。ある頃、マイクと共に故郷のアイダホを訪れたスコットは、その心の隙間を埋めるかのごとく母親との再会を決意するのだがーー
Various Note メモ
刹那的な日々を過ごす青年マイクが、さまざまな葛藤に苛まれる人生模様を情緒豊かに描く物語。男婦として身体を売るマイク(リヴァー・フェニックス)は、ナルコレプシー(発作性睡眠)に苛まれながら幼くして別れた母親に恋焦がれるナイーブな人物。一方、マイクと共に男婦としての刹那的な時間を過ごすスコット(キアヌ・リーヴス)は、権力者の父親を忌み嫌いながらも帰結すべき先を弁える現実派。その境遇面に於いても、母親に捨てられた不遇の少年期を過ごして来たマイクに対して、誰からも羨まれる上流階級に生まれ育ったスコットのそれは実に対照的なものだが、その実、シナリオで描かんとするメッセージは一つに集約されている。それは、貧しかろうが裕福だろうが、満たされていようが満たされてなかろうが、それぞれに帰結する先を直視して「生きろ」と訴え掛けるもの。作品のエンディングでも、その仄々とした映像とは裏腹に力強いメッセージが残されているが、その公開から2年後、ヴァン・サントのメッセージも空しいままに迎えてしまうリヴァー・フェニックスの運命を思い巡らせれば言葉を失う。
刹那的な情景も映えるヴィヴィッドなコントラストも鮮烈な映像だったが、その全てのカットが悉く印象的。マイクの過去を綴る8mmのフラッシュバック映像、ポルノショップでのカヴァーボーイに見立てられたキャストのパフォーマンス、ストップモーションで映し出されるそれぞれのベッドシーン、早送りで描写される大自然の背景画など挙げ出せば枚挙にも暇がない。
自身の故郷でもあるポートランドを舞台にする監督のヴァン・サントだが、そのプロットは、ポートランドのストリートで男婦をしていたと云うマイクとスコット(スクリプトでもファーストネームはそのまま引用)と云う実在する人物との出会いによってインスパイアされたもので、キアヌ・リーヴス演じるスコットのモデルとなったスコット・パトリック・グリーンと云う人物は、序盤のカフェのシーン(黒いキャップに黒いジャケット)やポルノショップでのシュールなカットで登場、モノローグ的な台詞で夜の界隈での体験談を披露している。
B-52'sの曲をモチーフにもするスクリプトだが(エンドロールでは"and thanks to the B-52's"とクレジット)、忌み嫌っていた権力者の父親の亡き後、異国の妻を娶り、遊び仲間とは袂を分かつと云うスコットの顛末は、シェークスピアのヘンリー4世とヘンリー5世を断片的に参照にしているもので、スコットが実の父親よりも愛すると語るボブ(ウィリアム・リチャート)が、バド(レッチリのフレア)と共にポートランドに帰り着いた直後の「真夜中に鐘の音を聞いた」と云うスクリプトなども戯曲から引用されたもの。
米国で初めてビデオリリースがリリースされた際、そのVHSパッケージには、同性愛と云うモチーフに対する懸念から主役の2人に加え女性キャストもレイアウトされていたらしいが、この話には失笑も禁じ得ない所。同性愛者として描かれるマイクは、マザーコンプレックスの傾向を持ちながら母親に捨てられた人物だが、仮に、スコットへの愛情を友情として割り切る為に葛藤すると云うモチーフが描かれていなければ、同性愛と云うモチーフは必須だったものでもなく、そもそもが、後年の「ソニー」のような状況設定でも何ら問題のないプロットだったはず。つまり、同性愛に焦点を当てるような作品ではなかった訳だが、モデルとなった2人の人物が現実に背負っていたドラマをそのまま引用していた事と、母親に蔑ろにされたが故に葛藤するスコットの姿を鮮烈に描き出すべく同性愛のモチーフが描かれていた事を考慮すれば、普遍的な社会通念や偏見によるリアクションを懸念する必要もなかったと云う事。メッセージが幅広い層に理解されるようになった昨今では、各種パッケージもそれに見合ったデザインになっているのだが。出色の傑作。演出と演技、リリカルな映像とその全てが鮮烈。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
脚本と監督
Written & Directed by
ガス・ヴァン・サント
Gus Van Sant
ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
誘う女 To Die For
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち
 Good Will Hunting
サイコ Psycho (1998)
小説家を見つけたら Finding Forrester
GERRY ジェリー Gerry
エレファント Elephant
ラストデイズ Last Days
パリ、ジュテーム
 Paris, je t'aime (segment "Le Marais")
製作
Produced by
ローリー・パーカー
Laurie Parker
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
メビウス Trance
イン・ザ・カット In the Cut
スクリプトの参考
Based on a play
ウィリアム・シェイクスピア
William Shakespeare
ロミオ&ジュリエット Romeo and Juliet (1968)
テンペスト The Tempest (1979)
タイタス Titus (1999)
ハムレット Hamlet (2000)
ヴェニスの商人 The Merchant of Venice (2004)
撮影
Cinematography by
エリック・アラン・エドワーズ
Eric Alan Edwards
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
誘う女 To Die For
コップランド Cop Land
ジョン・キャンベル
John Campbell
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
詐欺 イマジナリークライム(未) Imaginary Crimes
ニュー・エイジ The New Age
編集
Edited by
カーティス・クレイトン
Curtiss Clayton
ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
誘う女 To Die For
美術
Production Design by
デイヴィッド・ブリスビン
David Brisbin
ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
myベスト・フレンズ Eyes of an Angel
イン・ザ・カット In the Cut
衣装
Costume Design by
ベアトリクス・アルーナ・パスター
Beatrix Aruna Pasztor
ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
誘う女 To Die For
音楽
Music by
ビル・スタッフォード
Bill Stafford
* ペダル・スティール・ギターは彼自身の演奏
類猿人ターザン
 Tarzan, the Ape Man (1981) (orchestrator)
挿入曲
Various Music
Cattle Call - Eddy Arnold
America, the Beautiful - Bill Stafford
Deep Night - Rudy Vallee
Bachu Ber - Jean Poulot and Jamie Haggerty
Mr. Klein - Udo Kier and Tom Dokoupil
Too Many Colors - Aleka's Attic
Ovoniam Ipse - Bruce Van Buskirk
Home on the Range - Bill Stafford
Nun Freut Euch - Bruce Vand Buskirk
Cherish - Madonna
When the Saints Go Marchin' In - Elliot Sweetland
Blue Eyes - Elton John
The Funerals - Lori Presthus
The Old Main Drag - The Pogues
Getting Into the Outside - Conrad 'Bud' Montgomery
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
リヴァー・フェニックス
River Phoenix
Mike Waters エクスプロラーズ Explorers
モスキート・コースト The Mosquito Coast
スタンド・バイ・ミー Stand by Me
ジミー さよならのキスもしてくれない
 A Night in the Life of Jimmy Reardon
リトル・ニキータ Little Nikita
旅立ちの時 Running on Empty
インディ・ジョーンズ 最後の聖戦
 Indiana Jones and the Last Crusade
殺したいほどアイ・ラブ・ユー I Love You to Death
スニーカーズ Sneakers
キアヌ・リーヴス
Keanu Reeves
Scott Favor リバース・エッジ River's Edge
ビルとテッドの大冒険 Bill & Ted's Excellent Adventure
殺したいほどアイ・ラブ・ユー I Love You to Death
ハートブルー Point Break
ドラキュラ Dracula
から騒ぎ Much Ado About Nothing
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
スピード Speed
ディアボロス 悪魔の扉 The Devil's Advocate
リプレイスメント The Replacements
マトリックス The Matrix
コンスタンティン Constantine
イルマーレ The Lake House
ジェームズ・ルッソ
James Russo
Richard Waters コットンクラブ The Cotton Club
ビバリーヒルズ・コップ Beverly Hills Cop
ステート・オブ・グレース State of Grace
死の接吻 A Kiss Before Dying
トラウマ 鮮血の叫び Trauma
ウィリアム・リチャート
William Richert
Bob Pigeon ジミー さよならのキスもしてくれない
(監督/原作/脚本)
 A Night in the Life of Jimmy Reardon
依頼人 The Client
ロドニー・ハーヴェイ
Rodney Harvey
Gary ブルックリン・ボーイズ(未) Delivery Boys
ファイブ・コーナーズ 危険な天使たち(未) Five Corners
サルサ 灼熱のふたり Salsa
ツイン・ピークス Twin Peaks (tv)
キアラ・カゼッリ
Chiara Caselli
Carmella 夜ごとの夢 イタリア幻想譚 La domenica specialmente
めざめの時 L'année de l'éveil
魚のスープ Zuppa di pesce
フィオリーレ 花月の伝説 Fiorile
スリープレス Non ho sonno
マイケル・パーカー
Michael Parker
Digger ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
ジェシー・トーマス
Jessie Thomas
Denise  
フレア
Flea
Budd * レッチリのベーシスト
バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
 Back to the Future Part II
バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
 Back to the Future Part III
サイコ Psycho (1998)
グレース・ザブリスキー
Grace Zabriskie
Alena ノーマ・レイ Norma Rae
愛と青春の旅だち
ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
ワイルド・アット・ハート Wild at Heart
ツイン・ピークス Twin Peaks (tv)
トム・トゥループ
Tom Troupe
Jack Favor 聖なる漁夫 The Big Fisherman
戦略大作戦 Kelly's Heroes
サマースクール(未) Summer School
ウド・キア
Udo Kier
Hans 悪魔のはらわた Flesh for Frankenstein
処女の生血 Blood for Dracula
サスペリア Suspiria
ブレイド Blade
エンド・オブ・デイズ End of Days
神に選ばれし無敵の男 Invincible
ドッグヴィル Dogville
サリー・カーティス
Sally Curtice
Jane Lightwork  
ロバート・リー・ピッチリン
Robert Lee Pitchlynn
Walt ドラッグストア・カウボーイ Drugstore Cowboy
ミッキー・コットレル
Mickey Cottrell
Daddy Carroll サムバディ・トゥ・ラブ Somebody to Love
エド・ウッド Ed Wood
ボルケーノ Volcano
ジェームズ・カヴィーゼル
James Caviezel
Airline Clerk ワイアット・アープ Wyatt Earp
ペイ・フォワード 可能の王国 Pay It Forward
モンテ・クリスト伯 The Count of Monte Cris
ハイ・クライムズ High Crimes
スコット・パトリック・グリーン
Scott Patrick Green
Coverboy
Cafe Kid
* リーヴス演じるスコットのモデルになった人物
カウガール・ブルース Even Cowgirls Get the Blues
ラストデイズ Last Days
ガス・ヴァン・サント
Gus Van Sant
Man
behind hotel counter
(uncredited)
* カメオ出演
* 監督も兼任
邦題タイトル一覧 Domestic Title List
原題タイトル一覧 Original Title List
製作年度別一覧 Production Year's List
キーワード別一覧 Various Categories
リンクのページ Excellent Links
サイト掲示板 bbs
管理人の部屋 Webmaster
更新履歴 Update - Blog

作品のチラシ画像 Here's Flyer Images
現時点で入手が可能な
作品の関連アイテム
トップページへ Go To The Top Page 邦題リストへ Go To The Domestic Title List 原題リストへ Go To The Original Title List 製作年度別リストへ Go To The Production Year's List キ-ワード別一覧へ Go To The Various Categories
Copyright Flyer's Nostalgia - Authored by clockrestorange
All trademarks and copyrights on this page are owned by their respective owners.