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I banchieri di Dio a.k.a. " The Bankers of God: The Calvi Affair "
法王の銀行家 ロベルト・カルヴィ暗殺事件 (2002)  Italy 128min.
Introduction 序盤アウトライン
1976年、マフィアの金庫番として知られていた銀行家シンドーナが多額の債務を背負わされる形で失脚した後、その闇に包まれたIOR(ヴァチカン銀行)の財務管理をシンドーナから引き継いだアンブロジアーノ銀行の頭取ロベルト・カルヴィだったが、その両行の関係と取引内容の調査がイタリアの財務警察によって継続されていた最中の1981年2月17日、フリーメイソンP2組織の大物リチア・ジェッリのもとからP2に関する極秘文書が大量に押収された事から、その財務顧問として名を連ねていたカルヴィも外為法違反の罪状で拘置される。そのP2事件の名簿公表問題を巡り、政府と組織の間でさまざまな駆け引きが展開される中、IORの総裁を務めるマルチンクス大司教は、自らも関与する闇資金ルートの実態解明をその釈放の交換条件として提示されるカルヴィの動向に未曾有の危機感を募らせていたーー
Various Note メモ
「20世紀最大の金融スキャンダル」と呼ばれるIOR(ヴァチカン銀行)の一大スキャンダルを明るみにするまでの過程を、その発端となったイタリアの銀行家ロベルト・カルヴィ殺人事件(殺人と断定してもよい)にスポットを当てる形で克明に描く。タイムラインに沿って描かれる大雑把なアウトラインは、フリーメーソン系秘密結社ロッジP2の財務顧問に就任したロベルト・カルヴィの76年から他界する82年6月17日までの足跡を、02年までに明るみにされた事実を基に再現すると云うもの。ちなみに、ヴァチカン銀行の正式名称IORは、宗教活動協会(Instituto per le Opere di Religioni)の事を指す。
政界や財界、司法や軍関係者にまで及ぶフリーメイソンはもとより、法王庁やマフィアまでもが入り乱れるその事件の背後関係は、実に複雑怪奇なものにも映るが、そもそもがその事件の背後関係を把握する事なども不可能と云う状況を考慮すれば、その断片的な事実を基に再現されるここでの映像は、さまざまな推理意欲を掻き立てられるには充分な内容。スクリプトに登場する人物などを指し示す折々のカット映像も実にありがたいもので、ドキュメントタッチながらもその緊張感は終始継続、その明るみにされた範囲での「事実」も容易に把握出来る。ニ時間超の上映時間も釘付けにされる事間違いなし。
カルヴィがIORの金庫番に就任する様子を描く76年バハマでの会談を映し出す冒頭シークエンスでは、その前任者のシンドーナ(その直後に不正取引で逮捕)が失脚する様も描かれているが、実はこのシンドーナと云う人物は、後の79年、IORとアンブロージア銀行の関係を調査していた伊財務警察の金融犯罪担当調査官ジョルジョ・アンブロゾーリの殺害をマフィアへ依頼した容疑で逮捕、投獄されていた最中の86年3月21日に服毒自殺を遂げている。他殺説も真しやかに囁かれるこの事件は、その真相も謎のままの為かシナリオでは描かれていない。カルヴィが他界する直前の82年6月、投身自殺されたとされるアンブロジアーノ銀行の頭取秘書グラツィエラ・コロケルについては、その自殺説に一石を投じる意味深なカットも劇中の数箇所で見受けられる。
そもそも一連の事件を明るみにさせた大きな分岐点は、81年2月17日にP2のヘッドと目されていた在伊アルゼンチン大使館特別経済顧問リチア・ジェッリのがさ入れによって重要書類が押収された事。その際、政界や軍の幹部、情報機関の幹部やジャーナリスト、実業家や判事など、その数も962名と云う正に国家にも匹敵する権力組織の存在として殺人をも辞さないとされるフリーメイソン系の秘密結社P2と云う組織の実態が判明する訳だが、その名簿の議会での公開を巡っては火の粉をかぶりたくない首相が退陣を明言するなど、その影響力が如何程のものだったのかと云う事も窺い知れる所。殊更恐ろしいのは、その強大な影響力を持つP2と云う組織が古今東西、全世界を網羅して来たフリーメイソンと云う組織の一部に過ぎないと云う事である。
当たり役となったルトガー・ハウアー演じるマルチンクス大司教だが、劇中でも描かれている通り、76年のシンドーネ逮捕の際には、彼の代理人ルイジ・メンニーニが身柄を拘束されるなど、その闇の資金繰りに対する嫌疑を掛けられている。その際には辛くもIOR総裁として留まるマルチンクスだが、カルヴィが他界した後の83年2月20日、エンドクレジットでのテロップでも紹介されている通り、アンブロジアーノ銀行の偽装倒産に関与したと云う罪状でマルチンクスとメンニーニに逮捕状が発令されている。実は、「20世紀最大の金融スキャンダル」と云うフレーズも、その5000億リラと云う負債額の返済にIORが応じた時点で全世界を席捲した言葉だが、その2人に対する逮捕状は、ある判事によって無効にされている。実に胡散臭く矛盾極まりないと云った所だが、ロンドンの法廷では自殺か他殺かの特定も出来ずにいたカルヴィの死を巡っては、殺人と断定したミラノの法廷でもマルチンクスとIORはその嫌疑を免れている。それも、殺人の手口が警告的だったと云う抽象的な理由によるもの。その理由として挙げられた4点の内容は次の通り。
その第一は、カルヴィのようにフリーメーソンの掟や権力に挑んだ者への警告。二番目は、フォークランド紛争の最中のアルゼンチンに対して援助を行った者への警告。アルゼンチンの国旗色と現場となったテムズ川北岸の「ブラックフライアーズ橋」の色が同一コントラストだった為らしい。三番目は、信徒会オプス・デイへの警告。信徒会のウルキホ銀行のロケーションが現場の橋とは至近距離だった為だが、カルヴィが信徒会に援助を求めていた事実は、シナリオでも描かれている通り。四番目は、ヴァチカンへの警告。カルヴィがカトリック系銀行家だった為だが、これは、90年代マフィアの犯行説を匂わせる推理だろう。ちなみに、マフィアの単独犯行説は、89年度公開作品「ゴッドファーザーPARTIII」でも基本モチーフにされている。周知の通りその内容は、ヨハネ・パウロ一世が教皇就任の直後に突然死した事をIORとマフィアの癒着として捉えたものだが、ちなみに、カルヴィをモデルにしていたと思われるユダヤ系銀行家のキャラクターは、フレデリック・カインジックと云う名前で登場。
発見直後には自殺とされながらも、その遺体発見現場の不自然な状況や、カルヴィの衣類から発見された石やレンガ片が別の場所に存在するものだった事から(その偽装工作の様子は劇中でも描かれている)、後にスコットランドヤードによって再開された捜査だが、英国の当局が他殺と断定するのも92年になってからの事。イタリアでは、ミラノの法廷では他殺と断定されていながらも、警察当局が他殺と断定したのはカルヴィの遺族の依頼によって遺体の再調査が行われた03年7月になってからの事だった。
エンドクレジットでは、殺しの脅迫を受けながらも97年にその再開を決定したアルメリーギ判事による捜査が展開される中、マフィアの大物ピッポ・カーロと劇中にも登場するフラヴィオ・カルボーニ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が逮捕された事が記されているが、その「殺人罪」での実際の「起訴」に至ったのも05年になってからの事で、その05年4月18日と云う起訴状の提出された日が、事件当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の死去に伴っての新教皇選出の為に開かれていたヴァチカンの枢機卿たちによる非公開の会議「コンクラーヴェ」の開始日だった事から、その大きな波紋を呼んだ事も記憶に新しい所。
その法王庁に対する捜査当局の挑戦的な姿勢だが、その実行犯をマフィアや実業家とする一連の捜査手続きも、その背後関係までを白日の下に晒す事は難しいと云える。カルヴィ側についていながらも、その死の直前にロンドンを発っていたと云うパツィエンツァ(P2のメンバー)も事件に関与していたとするなら、マルチンクスを含む法王庁のP2一派を始めとするロッジP2組織を挙げての犯行だったとも考えられるからである。02年、スキャンダルまみれとなったマルチンクスが枢機卿に昇格する夢を果せずに渡米した事実はテロップでも紹介されているが、果たして現在も続くその一連の審理は、どのような結末を迎えるのだろうか。全世界に配給される劇場長編映画と云うメディアの存在価値を再認識させられた。必見。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
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監督
Directed by
ジュゼッペ・フェラーラ
Giuseppe Ferrara
100日の凶弾(未) Cento giorni a Palermo
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製作
Produced by
エンツォ・ガロ
Enzo Gallo
サファリ・ラリー(未) 6000 km di paura
男が女を愛するとき(未) Quando una donna non dorme
脚本
Written by
ジュゼッペ・フェラーラ
Giuseppe Ferrara
* 監督も兼任
アルメニア・バルドゥッチ
Armenia Balducci
死刑台のメロディ Sacco e Vanzetti(出演)
ジャクリーン・ビセット 抱いて (未) Amo non amo
首相暗殺(未) Il caso Moro
撮影
Photographed by
フェデリコ・デル・ゾッポ
Federico Del Zoppo
アバランチエクスプレス Avalanche Express
リバイアサン Leviathan
キラー・クロコダイル(未) Killer Crocodile
桃色画報 Fallo!
編集
Edited by
アドリアーノ・タリャヴィア
Adriano Tagliavia
マッドライダー Gli sterminatori dell'anno 3000
地獄のレイダース(未)
 I predatori della pietra magica
コップ・ターゲット 狼たちの牙 Cop Target
美術
Production Designed by
ダヴィデ・バッサン
Davide Bassan
デモンズ Dèmoni
オペラ座 血の喝采 Opera
デモンズ5(未) La maschera del demonio
衣装デザイン
Costume Design
エンリカ・バルバーノ
Enrica Barbano
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Ti voglio bene Eugenio (2002)
音楽
Music by
ピノ・ドナッジオ
Pino Donaggio
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殺しのドレス Dressed to Kill
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トラウマ 鮮血の叫び Trauma
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Cast
配役
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