Return To Top
震える舌
same as above (1980) Japan 114min.
Introduction 序盤アウトライン
首都郊外。フリーの出版物校正業で生計を立てる三好昭は、妻の邦江と5歳の娘・昌子と平凡な団地暮らしを送っていたが、そんなある頃、親子3人の平和な暮らしに暗い影が忍び寄る。昌子の身体に異変が発生する中、症状も不明なまま不安な日々を余儀なくされた一家だったが、やがて、専門医から下された昌子の病名は、極めて高い致死率の破傷風と云う信じ難いものだった。24時間体制での看護が開始される中、愛娘の傍に付き添う昭と邦江だったが、そこに待ち受けていたのは、無残な症状に悶絶する娘の姿に神経を切り刻まれる苦悶の日々だったーー
Various Note メモ
絶望の淵に立たされた親子3人の苦闘の日々を描く。芥川賞受賞作「鶸」の三木卓の同名原作を基に「赤ひげ」「影武者」の井手雅人が脚色。監督は「張込み」「砂の器」「八つ墓村」の野村芳太郎。さまざなま特殊メイクも効果的な映像だが、何より鬼気迫るキャストの演技とそのポテンシャルを引き出した演出の凄みに尽きる一遍。アコースティックと電子音楽のコラボによるスコアも出色。以下は、公開当時の野村監督のコメント。「恐怖こそ感覚的なものであり、云いかえれば、最も映画的素材である事は間違いない。勇気をもって、この恐怖との対決を描いてみたいと思う。」

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
アウトラインは、幼い娘が破傷風を発症する中、三十路そこそこの若い両親がさまざまな恐怖と向き合うと云う内容。主要キャストの鬼気迫る演技も忘れられない作品だが、公開当時、真っ先に思い知らされたと云えば、幼少時から事ある度に注意するように促されていた「破傷風」と云う病原体の実の脅威。「テタナス」と云うラテン語での病原体名など知る由もなかった頃、特別な病原体に侵された極めて稀な症例を扱う映画なのかと思いきや、何とその悪役はあの破傷風菌。傷口は水で洗え、消毒しろなどと言い聞かせられる度に御座なりのように耳にしていた「破傷風」と云う名前だが、その実、ここまで凄まじいものなのかと絶句させられたのがこの作品だった。
0.3~0.6ミクロン×3~6ミクロンと云う微小なサイズの破傷風菌だが、その地上最凶とも云われる所以は、わずか数十pg(ピコグラム:1兆分の1グラム)でマウスを死に至らしめる破傷風毒素。人口一億人の一国家もわずか数十グラムで死滅に至らしめられる。現実の発症確率は、ワクチンの接種などにより数十万分の一と云う事だが、さまざまな土壌や汚泥に芽胞として息衝く破傷風菌は、至る所の身近な場所に存在。早期診断と毒素の中和で危険は回避できるものの、あろう事かその唯一の生命線となるのは、初期症状に応じての「推測」による診断。神経細胞に毒素が結合する事で手遅れになると云う最悪のケースについては、小児科医長のダイアローグでも説明されていたが、その死に至らしめられるまでの患者の様子がこの上なく酷い。毒素が引き起こす痙性麻痺で背骨をも歪曲させる痙攣症状だが、そんな地獄の闘病を余儀なくされる登場人物も、ここでは5歳の少女なのだから堪ったものではない。
送管する為に歯を引き抜かれる少女の姿もヴィヴィッドに映し出される中、そんな情景を正視させられながらノイローゼ状態に追い込まれる若い両親の苦悩も浮き彫りにする映像だが、公開当時は稀代のホラーとも呼ばれたこの作品、何が凄かったのかと云えば、一連の惨劇のシーンも明らかな伏線に続けられていた辺り。来るな来るなと判りながらも、掛け値なしで驚かされる演出などホラーなどではあり得ないものだが、ここではそんな定石も一蹴。絶望の淵に立たされた少女の父親が破傷風菌を名指しで非難するモノローグも出色。人類の生誕以前、太古の時代から生息していたと云う破傷風菌を二人称に据えるSFチックなモノローグながらも、その藁にもすがるようなペーソスは本物だった。
アコースティックと電子音楽を融合させるスコアも注視すべき所。オープニングや随所の場面で挿入される藤原真理さん独演の「無伴奏チェロ組曲」だが、その傍らで用意されたスコアはポリシンセのアンサンブルによるもの。当代懐かしいYAMAHAのCS70のようにも聴こえたシンセアンサンブルだが、鑑賞以前、個人的な最大の関心事と云えば、その演奏を小熊達弥さんが担っていた事。小熊さんと最初期のカシオペア(佐々木隆さんがタイコ)とのコラボアルバム"Spiral Fusion"と云えば、当時のインストファンには必須のアイテム。知人講師陣のウチなどにもフツーに置いてあったアナログLPだが、その内容は、ミスティやサテンD、オルフェやサマータイムなどのスタンダードからハンコックの8ビートズージャまでを、カシオペアをオケに擁した小熊さんがダンモな感覚で演りまくると云うもの。そんな小熊さんがポリシンセのBGMアンサンブルに徹するここでのスコアには肩透かしも食らったが、その実、シナリオの内容を踏まえれば当然の話。無伴奏チェロとのコラボになるクライマックスは、オーヴァーダブながらも、やはり貴重なパフォーマンスだったと云える。劇場でのモノラル音響は只々悔やまれるが、アコースティックとアナログ高級シンセ音源のコラボにワクワクさせられただけでも個人的には充分だった。
本作とは全く関係のない話を一つ。破傷風と云えば、近年の作品で思い出すのが、ハヌッセンの伝説を独自の見解でぶった切る01年の「神に選ばれし無敵の男」。主要キャストの怪力男(ヨウコ・アホラ)の命を奪うのも破傷風だったが、そんな何気に呆気のないようにも思わされる怪力男の末路も、この作品を通った方などには全く違和感もなかったはず。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
野村芳太郎 伊豆の踊子
太陽は日々に新たなり
踊る摩天楼
張込み
最後の切札
ゼロの焦点
背徳のメス
左ききの狙撃者 東京湾
五辧の椿
望郷と掟
暖流
白昼堂々
しなの川
東京ド真ン中
砂の器
昭和枯れすすき
八つ墓村
事件
鬼畜
配達されない三通の手紙
わるいやつら
真夜中の招待状
疑惑
迷走地図
ねずみ小僧怪盗伝
危険な女たち
製作
Produced by
野村芳太郎 * 監督も兼任
織田 明 必殺仕掛人 梅安蟻地獄
超高層ホテル殺人事件
八つ墓村
事件
配達されない三通の手紙
道頓堀川
魚影の群れ
上海バンスキング
原作
Based on the novel by
三木 卓 東京午前三時
わがキディ・ランド

子宮
惑星の午後に吹く風
となりの女
生還の記 心筋梗塞に襲われて
ボディ・シャンプー
理想の人生
脚本
Screenplay by
井手雅人
三十六人の乗客
点と線
赤ひげ
鬼畜
影武者
わるいやつら
海峡
撮影
Cinematography by
川又 昂 白昼堂々
同棲時代 今日子と次郎
しなの川
東京ド真ン中
砂の器
昭和枯れすすき
八つ墓村
事件
鬼畜
配達されない三通の手紙
わるいやつら
真夜中の招待状
道頓堀川
疑惑
危険な女たち
黒い雨
編集
Edited by
太田和夫 吸血髑髏船
しなの川
必殺仕掛人 春雪仕掛針
砂の器
錆びた炎
八つ墓村
夜が崩れた
事件
鬼畜
配達されない三通の手紙
わるいやつら
真夜中の招待状
道頓堀川
迷走地図
ねずみ小僧怪盗伝
危険な女たち
美術
Production Design by
森田郷平 吸血髑髏船
同棲時代 今日子と次郎
必殺仕掛人 梅安蟻地獄
東京ド真ン中
砂の器
昭和枯れすすき
錆びた炎
八つ墓村
事件
鬼畜
配達されない三通の手紙
わるいやつら
真夜中の招待状
道頓堀川
疑惑
迷走地図
上海バンスキング
ねずみ小僧怪盗伝
危険な女たち
音楽
Music by
芥川也寸志 地獄門
黒い十人の女
地獄変
影の車
砂の器
八甲田山
八つ墓村
事件
鬼畜
配達されない三通の手紙
わるいやつら
幻の湖
疑惑
演奏
Performed by
小熊達弥 * 第一期カシオペアとのセッションアルバム"Spiral Fusion"でも知られる著名なエレクトーン奏者
挿入曲
Various Music
J.S.Bach - Suites for Unaccompanied Cello
(バッハ - 無伴奏チェロ組曲)
演奏: 藤原真理
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
渡瀬恒彦
三好 昭 木枯し紋次郎
仁義なき戦い
仁義なき戦い 代理戦争
ボディガード牙 必殺三角飛び
新仁義なき戦い
新仁義なき戦い 組長の首
沖縄やくざ戦争
事件
皇帝のいない八月
赤穂城断絶
戦国自衛隊
影の軍団
復活の日
わるいやつら
青春の門
真夜中の招待状
化石の荒野
道頓堀川
天城越え
時代屋の女房
泪橋
南極物語
迷走地図
彩り河
首都消失
敦煌
天と地と
復活の朝
三国志 遙かなる大地 完結篇
忠臣蔵外伝 四谷怪談
時をかける少女
十朱幸代
三好邦江 殺人者を消せ
マカオの竜
女の警察
魚影の群れ

花いちもんめ
白い野望
極道の妻たち II
桜の樹の下で
社葬
ハラスのいた日々
女帝 春日局
首領になった男
江戸城大乱
日本一短い「母」への手紙
若命真裕子
三好昌子  
中野良子
能 勢 二人だけの朝
無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた
花心中
小林多喜二
青い山脈
竹久夢二物語 恋する
君よ噴怒の河を渉れ
北の宿から
八つ墓村
お吟さま
野性の証明
遙かなる走路
ヘッドフォン・ララバイ
燃ゆる街
越村公一
江 田 セミドキュメント 暴行魔汚す
のぞき
初夜の海
いつかA列車に乗って
宇野重吉
小児科医長 チャタレー夫人は日本にもいた
嵐を呼ぶ男
黒部の太陽
伊豆の踊子
金環蝕
先生のつうしんぼ
迷走地図
姉妹坂
さくら隊散る
北林谷栄
昭の母 張込み
帝銀事件 死刑囚
黒部の太陽
悪魔が呼んでいる
小林多喜二
人間の証明
事件
野性の証明
駅 STATION
疑惑
危険な女たち
ビルマの竪琴
となりのトトロ
大誘拐
梅野泰靖
昭の兄 網走番外地
女の警察
戦争と人間 第一部 運命の序曲
家族
駅 STATION
疑惑
ラヂオの時間
日本の黒い夏 冤罪
みんなのいえ
蟹江敬三
山 岸 鬼畜
天使のはらわた 赤い教室
影の軍団 服部半蔵
泥の河
遠雷
蒲田行進曲
探偵物語
すかんぴんウォーク
二代目はクリスチャン
犬死にせしもの
メロドラマ
忠臣蔵外伝 四谷怪談

眠る男
卓球温泉
本日またまた休診なり
精霊流し
マナに抱かれて
中原早苗
貞 恵 ギターを持った渡り鳥
女囚さそり
仁義なき戦い 頂上作戦
赤ちょうちん
仁義なき戦い
新仁義なき戦い
青い性
裸足のブルージン
柳生一族の陰謀
赤穂城断絶
矢野 宣
私立病院医師 白昼の通り魔
新幹線大爆破
八つ墓村
帰らざる日々
マルサの女2
あげまん
ミンボーの女
スーパーの女
マルタイの女
赤い橋の下のぬるい水
邦題タイトル一覧 Domestic Title List
原題タイトル一覧 Original Title List
製作年度別一覧 Production Year's List
キーワード別一覧 Various Categories
リンクのページ Excellent Links
サイト掲示板 bbs
管理人の部屋 Webmaster
更新履歴 Update - Blog

作品のチラシ画像 Here's Flyer Images
現時点で入手が可能な
作品の関連アイテム
トップページへ Go To The Top Page 邦題リストへ Go To The Domestic Title List 原題リストへ Go To The Original Title List 製作年度別リストへ Go To The Production Year's List キ-ワード別一覧へ Go To The Various Categories
Copyright Flyer's Nostalgia - Authored by clockrestorange
All trademarks and copyrights on this page are owned by their respective owners.