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La chiesa
デモンズ3 (1989) Italy 102min.
Introduction 序盤アウトライン
中世期の北イタリア。悪名高きチュートン騎士団が魔女狩りの名の下で一つの村を殲滅させる中、無数の屍を覆い隠すかのように巨大な聖堂が建てられる。そして数世紀を経た現代、今では観光地の一角にひっそりと佇む聖堂に司書のエヴァンが着任する。中世の教会に隠された財宝を目当てにするエヴァンは、礼拝堂の絵画修復師リサから手渡された羊皮紙に記された謎の図柄を解読、中世の惨劇を封印する教会の地下へと足を踏み入れるのだがーー
Various Note メモ
中世の怨念を現代に甦らせるゴシックホラー。脚本は「デモンズ」「デモンズ2」でもチームを組んだダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ、ランベルト・バーヴァ、ダルダーノ・サッケッティの4人と、演出も手掛ける「アクエリアス」のミケーレ・ソアヴィによる共同執筆。アルジェントは製作も兼任。M.R.ジェームズの短篇「トマス僧院長の宝」が下敷きにされた事も明らかなシナリオだが、これは「脚色」ではなく「脚本」と呼べる内容。公開当時、キース・エマーソンとゴブリンと云う2大ブランドが顔を揃えたオムニバス版スコアも話題に。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
中世の時代にカトリック系騎士団に惨殺された人々の怨念が現代人に転生する形で「悪魔」として甦生する中、そんな万一の為に備えられていたカラクリによって密室状態と化した教会屋内での惨劇を描くシナリオは、"La chiesa"と云うタイトルの通り、あの「デモンズ」とは全く別の内容。となれば、「デモンズ3」と云う邦題も名ばかりのようにも思えるが、その実、屋内に閉じ込められた人々が悪魔の脅威に曝される辺りは一作目に同じ。むしろ、訳の分からぬモンスターなどではなく、恨みを晴らすべく「悪魔」として甦るキャラたちの理由を明らかにするシナリオは、理路整然とした「デモンズ」と云う感じ。クライマックスに向けての要所を押さえての展開もスリリングで面白い。ただ、子供たちを引率していた教師が悪魔の手先に殺害されたにも拘らず、何事も無かったかのように描かれる直後の情景には微妙な違和感も。
騒ぎの張本人たる司書のエヴァン(トマス・アラナ)、秘密を握る司教(フェオドール・シャリアピン)、事態を処理する神父のガス(ヒュー・クァーシー)など中心キャラや、7つの目を持つ彫刻がポイントになるモチーフなどは、M.R.ジェームズの「トマス僧院長の宝」を踏襲した事も明らかだが、中世の惨劇に端を発する現代の地獄絵巻をスリリングに描く映像は、そもそものコンセプトが全く違う。番人の娘ロッテ(アーシア・アルジェント)や絵画修復師のリサ(バーバラ・クピスティ)が中心キャラとして絡む辺りはオリジナル以外の何ものでもない。生贄になるリサも然る事ながら、ロッテの存在はなかんずく重要。輪廻転生を経ての惨劇の生き証人として登場するロッテだが、血生臭い映像に癒しを与える等身大での存在感は、少女キャラに固執するアルジェントのメガホン作「フェノミナ」のヒロインにも匹敵。それにしても、神父のガスを善玉の中心キャラに据える終盤の展開はスリリング。中世の惨劇を描く衝撃の冒頭、司書のエヴァンと絵画修復師のリサを中心に描く前半、四面楚歌の教会屋内を描く後半と、それぞれに間延びしている印象も皆無だった。
「中世に葬られた悪魔教の信者たちが甦る」と云う紹介も目にするこの作品、云うまでもなく、実際のプロットは全く別。冒頭、騎士団を導くイタチのような修道僧によって「魔女だ!」と捲くし立てられる少女だが、その足の裏の十字の傷の出血を抑えるかのように足首に巻かれた布を見る限りでは、あの修道僧によって意図的に付けられたばかりの傷だったようにも思える所。何故ならば、かねてから付けられていた足の裏側の刻印であれば隠す必要などもなく、ましてや、如何にも「ここですよ」と云わんばかりに包帯を巻いたりはしないはず。
数多くの文献などにも残されている通り、絶対的権力を持つ司祭による婦女子への淫行を隠蔽する為に行われた事も多々あったと云う「魔女狩り」だが、ここでの背景として描かれるモチーフは、まさしくその蛮行にも類似するような素材。結局、無実の村人全員が血を欲するだけの狂信的な騎士団の手により惨殺されてしまう訳だが、その死体の山の上に聖堂を建てると云う意図も罪悪感を裏返しにしたもので、真しやかに正当な「魔女狩り」だと考えていたのであれば、聖堂の建立などあるはずもない。半殺しのまま死体の山に遺棄されていた婦女子を指差す司教の慌てふためく行為が描かれているのも、真実を暴露される事がタブーだったと云う裏返しの描写。要は、悪魔教の信者が甦ると云ったモチーフなどではなく、無実の人々の怨念が、悪鬼の力を借りて現代に甦ると云う解釈が正しい所。手っ取り早く云えば、罪もなく殺された女たちの怨念が悪霊と化して甦る「妖怪人間ベム」のエピソード「恨みの髪の毛」のようなプロットだったと云う事。それにしても、冒頭シーンは辛すぎる。マジで吐き気を覚えた。そもそも、自己中心的な人間が、善悪二面性の生命観を振りかざすと云う事自体がナンセンスなのかなと。神や悪魔に転嫁するご都合主義がもたらす結末は、さまざまな界隈を分断する理不尽な現実でも顕著な所。
テーマ曲を始めとするエマーソンのスコアや、マーティン・ゴールドレイの挿入曲"Floe"(作曲はフィリップ・グラス)、ピニャテッリが一人看板を背負うゴブリン篇のスコア、サイモン・ボズウェルの挿入曲"Imagination"など、音楽方面でのアルジェント人脈も一堂に集う賑やかな作品だが、その公開当時は、エマーソンとゴブリンのオムニバス競演にはフツーにビックリ。と云うのも、それぞれにアルジェント作品のスコアを手掛ける中、サスペリアでの機材レンタルなど接点もあった両者だが、一つの作品で名を連ねると云うのもプログレファンの常識ではあり得なかったので。現実には、両者のスコアも何気に地味なものだったが、そんな中、劇中の数箇所やエンドタイトルで大々的にフィーチャーされていたのは、フィリップ・グラス作曲の"Floe"。と云うか、オムニバスと云う話を端から聞かされているような場合、演り手がモチベーションを全開にするのも難しいはず。製作側が最良のスコアを選択するのは当たり前の事だが、エマーソン版とゴブリン版の英語と伊語の同様のタイトルがそれぞれ連なるサントラと云うのもかなり微妙。と云うより、入札のような製作過程の足跡をそのまま残すサントラと云うのもフツーではあり得ない。せめてタイトルを変更するなど、アーティストへの配慮も欲しかった所。エンドクレジットでも登場する"Floe"だが、ピニャテッリ版のテーマ曲の方が格段に良かったはず。ちなみに、ゴシックな音階と2拍3連の鍵盤リフが出色のエマーソンのテーマ曲は、90年のイタリアTV出演時にライヴでプレイされている。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ミケーレ・ソアヴィ
Michele Soavi
アルジェント・ザ・ナイトメア 鮮血のイリュージョン
 Il mondo dell'orrore di Dario Argento
アクエリアス Deliria
デモンズ4(未) La Setta
デモンズ’95 Dellamorte Dellamore
製作
Produced by
ダリオ・アルジェント
Dario Argento
デモンズ Dèmoni
オペラ座 血の喝采 Opera
マリオ・チェッキ・ゴーリ
Mario Cecchi Gori
ニキータ Nikita
エーゲ海の天使 Mediterraneo
イル・ポスティーノ Il Postino
記憶の扉 Una pura formalità
ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
Vittorio Cecchi Gori
原案
Based on a story by
M.R.ジェームズ
M.R. James
story "The Treasure of Abbot Thomas"
脚本
Screenplay by
ダリオ・アルジェント
Dario Argento
* 製作も兼任
フランコ・フェリーニ
Franco Ferrini
デモンズ Dèmoni
オペラ座 血の喝采 Opera
エトワール Étoile
ランベルト・バーヴァ
Lamberto Bava
ザ・ショック Schock
デモンズ Dèmoni
デモンズ2(未) Demoni 2
ダルダーノ・サッケッティ
Dardano Sacchetti
ミケーレ・ソアヴィ
Michele Soavi
* 監督も兼任
英訳ダイアローグ
English dialogue
ニック・アレクサンダー
Nick Alexander
デモンズ Dèmoni (dubbing editor)
デモンズ2(未) Demoni 2 (dialogue editor)
特殊背景創造
Special scenic creations
セルジオ・スティヴァレッティ
Sergio Stivaletti
フェノミナ Phenomena (special effects)
デモンズ Dèmoni (special effects)
撮影
Cinematography by
レナート・タフーリ
Renato Tafuri
女テロリストの秘密 Segreti segreti
アクエリアス Deliria
編集
Edited by
フランコ・フラティチェッリ
Franco Fraticelli
デモンズ Dèmoni
オペラ座 血の喝采 Opera
美術
Production Design by
マッシモ・アントネッロ・ゲレング
Massimo Antonello Geleng
エイリアンドローム(未) Contamination
食人族 Cannibal Holocaust
ラ・マスケラ La Maschera
衣装デザイン
Costume Design by
マウリツィオ・パイオーラ
Maurizio Paiola
Warrior of the Lost World
音楽
Music by
キース・エマーソン
Keith Emerson
* ELPの鍵盤奏者
インフェルノ Inferno
ナイトホークス Nighthawks
幻魔大戦 Harmagedon: Genma taisen
ルチオ・フルチのマーダロック(未)
 Murderock - uccide a passo di danza
ゴブリン
Goblin
サスペリアPART2 Profondo rosso
サスペリア Suspiria
ゾンビ Dawn of the Dead
スリープレス Non ho sonno
挿入曲
Various Music
The Church (Main Theme) - Keith Emerson
La Chiesa - Goblin
Prelude 24 (from "Well Tempered Clavier") - Keith Emerson
Possessione - Goblin
Floe - Martin Goldray
The Possession - Keith Emerson
Lotte - Goblin
Go To Hell - Zooming on The Zoo
The Wire Blaze - Definitive Gaze
Imagination - Simon Boswell
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
ヒュー・クァーシー
Hugh Quarshie
Father Gus 戦争の犬たち The Dogs of War
ハイランダー 悪魔の戦士 Highlander
トマス・アラナ
Tomas Arana
Evan レッド・オクトーバーを追え! The Hunt for Red October
L.A.コンフィデンシャル L.A. Confidential
グラディエーター Gladiator
フェオドール・シャリアピン
Feodor Chaliapin Jr.
The Bishop インフェルノ Inferno
薔薇の名前 Der Name der Rose
ラ・マスケラ La Maschera
バーバラ・クピスティ
Barbara Cupisti
Lisa オペラ座 血の喝采 Opera
アクエリアス Deliria
アントネッラ・ヴィターレ
Antonella Vitale
Bridal Model オペラ座 血の喝采 Opera
ジョヴァンニ・
ロンバルド・ラディーチェ
Giovanni Lombardo Radice
Reverend 地獄の謝肉祭 Apocalypse domani
真夜中の狂気 La casa sperduta nel parco
アーシア・アルジェント
Asia Argento
Lotte * ダリオ・アルジェントの娘
トラウマ 鮮血の叫び Trauma
トリプルX xXx
ロベルト・カルーソー
Roberto Caruso
Freddie スタントマン The Stunt Man
欲望の小部屋(未) L'alcova
ロベルト・コルビレット
Roberto Corbiletto
Hermann,
the Sacristan
ボイス・オブ・ムーン La voce della luna
娼婦ベロニカ Dangerous Beauty
アリーナ・デ・シモーネ
Alina De Simone
Lottie's Mother Ödipussi
La Monaca di Monza
オリヴィア・クピスティ
Olivia Cupisti
Mira  
ジャンフランコ・デ・グラッシ
Gianfranco De Grassi
The Accuser 暴行列車 L'ultimo treno della notte
クレア・ハードウィック
Claire Hardwick
Joanna ベルト La Cintura
リプリー The Talented Mr. Ripley
ラルス・ヨルゲンソン
Lars Jorgenson
Bruno  
ジョン・カールセン
John Karlsen
Heinrich ジブラルタル海峡 L'oro di Londra
ポランスキーの欲望の館(未) What?
ジョン・リチャードソン
John Richardson
Architect 血ぬられた墓標 La Maschera del demonio
恐竜100万年 One Million Years B.C.
影なき淫獣
 I corpi presentano tracce di violenza carnale
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