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The Great Escape
大脱走 (1963) USA 172min.
Introduction 序盤アウトライン
ベルリンから144キロ、ポーランドのザガン。ドイツ空軍が新たに設置したルフト第三捕虜収容所は、各地に散らばる収容所施設を悩ます脱走兵に対する無駄な兵力を削減すべく建造された脱走捕虜専門の収容所だった。反抗的な態度に終始する米空軍のヒルツと英空軍のアイヴスのコンビが独房に収監された頃、各地での脱獄事件では中心的存在として暗躍していた通称「ビッグX」と呼ばれる空軍中隊長シリルがゲシュタポの手によって移送されて来る。やがて、各分野に精通するメンバーを招集したシリルは、ある計画を立案、それは、収容所の全メンバー250名を脱走させようと云う前代未聞の大脱走計画だったーー
Various Note メモ
英国軍戦闘機スピットファイアの操縦士だった原作者のポール・ブリックヒルは、1943年3月チュニジア上空で撃墜された後、劇中にも登場するドイツ空軍管轄のルフト第三捕虜収容所に移送、脱走計画にも加わっていた。克明な記録とも云える原作著書は、欧州大戦終結から間もなくして1950年に出版されている。
劇中に登場する数名のキャストは、実際にPOW(戦時下捕虜)の体験者である。ハンネス・メッセマーはロシアキャンプ、ティル・キヴェとハンス・ライザーはアメリカキャンプで捕虜になった経験がある。また、ドナルド・プレザンスは、劇中にも登場するルフト空軍が管轄する第一捕虜収容所(映画の舞台は第三捕虜収容所)での捕虜生活を体験しているが、DVD収録のインタビューによれば、「映画の中では、ドイツ軍の威嚇も意に介さぬ勇猛な人物が多数登場しているが、現実の捕虜生活で対峙したドイツ兵はひたすら恐かった」と回想している。
トンネルキングの異名を取るも、実は、閉所恐怖症だったと云う米空軍大尉ヴェリンスキーを演じるチャールズ・ブロンソンだが、映画界に飛び込む以前には、炭鉱夫としてのキャリアもあったと云うブロンソンは、撮影に際しての的確な助言を監督のスタージェスに与えていたらしい。
見せ場の一つでもあるマックイーンのバイクチェイスについては、レーサーとしてのキャリアを持つ彼のスキルだけでも充分だとされていたが、あの有名な鉄条網のフェンス越えについては、引き受け条項から免責にすると云う保険会社からの通達を受けた事により、製作側ではスタントの起用を余儀なくされている。そのスタントについては、マックイーンの友人でもあるバド・イーキンズが演じた訳だが、イーキンズ本人のインタヴューによれば、あのフェンス越えの瞬間には、只ひたすらの静寂を感じるだけだったらしい。また、チェイスシーンに臨んだマックイーンは、ドイツ兵と自身のスタントを適宜双方演じている。バド・イーキンズのインタビューや各シークエンスの詳細については、裏話が満載のDVDのメイキングで公開されている。
田舎町を走り抜けるマックイーンだが、撮影とは言え相当の速度違反を犯していた彼は、警察に逮捕・拘留されている。その逮捕の際に告げられたと云う警察のコメントは、「マックイーンさん、今日はあなたの同僚も何人か捕まえましたが、あなたが優勝者です。」と云うウィットにも満ちた台詞だったらしい。
トンネルの撮影に於いては、現実に「トンネルキング」の異名を取ったPOW経験者であるウォリー・フラッディー氏が、そのコンサルタントとして招聘されている。笑える逸話だが、フラッディー氏を招聘して間もなく、あの狭いトンネルのセットを見せた所、「こんなに広くていいのか」と云うコメントを残していたらしい。撮影も着々と進行する中、セットで表現するリアリズムなどで観客を納得させる事が出来るものかと云う不安を常に抱いていたと云うスタッフたちだったが、「正にこの通りだった」と云うお墨付きをコンサルタントのフラッディー氏から得た事で、スタッフは満を持しての自信を得る事が出来たと云う。
ビッグXらの逃走中、再逮捕された連軍兵士達への銃殺を許可したゲシュタポのヘルマン・ゲーリングは、後のニュルンベルグ裁判で有罪判決を受けている。
本作の撮影当時には独立したプロダクションを構えていたスタージェスだが、この作品での資金調達には相当な苦労を要している。最終的には「荒野の7人」を製作した当時からの人脈によって400万ドルを集める事が出来たと云うスタージェスだが、DVDでの赤裸々なインタビューでも語られている通り、最後の最後まで完成しなかったと云う脚本の問題やマックイーンのボイコットなど、数多くの問題を抱えてままでの難作業に終始していたようである。
マックイーンのボイコットに始まり、緊急招聘されたと云う脚本家たちが撮影中にもタイプライターを叩いていたと云う話は有名な所だが、実際には、完成されたシナリオにちぐはぐな印象などは皆無と云った所。独立記念日を祝う最中に英空軍のアイヴスが射殺される辺りから急展開を見せる物語は、映画史に残る名場面を経て急降下の勢いで結末へと雪崩れ込む。後々のキャリアとはそのイメージも違い、悩める等身大のキャラクターを披露するブロンソンのパフォーマンスなども見応え充分。
修復も難しいと思われるシークエンスと完全修復が実現されたシークエンスの落差も多少は気になるニュープリントの映像だが、その殆どは、かつてのメディアでは想像も出来なかったと云った美しい映像として堪能出来る。DVDのメイキングに収録されたデイヴィッド・マッカラムのインタビューは、その撮影時が何時のものかは判らないが、あの若々しさには圧倒されるばかり。ジェームズ・ガーナーやドナルド・プレザンス、ジェームズ・コバーン、マックイーン夫人、そして当時のスタッフなどがメイキングで明かす製作秘話は、その何れもが興味深いものばかりである。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ジョン・スタージェス
John Sturges
OK牧場の決斗 Gunfight at the O.K. Corral
ゴーストタウンの決斗 The Law and Jake Wade
荒野の七人 The Magnificent Seven
製作
Produced by
ジョン・スタージェス
John Sturges
* 監督も兼任
ジェームズ・クラヴェル
James Clavell
* 脚本も兼任
原作
Based on the novel by
ポール・ブリックヒル
Paul Brickhill
殴り込み戦闘機隊 Reach for the Sky
脚色
Screenplay by
ジェームズ・クラヴェル
James Clavell
蝿男の恐怖(未) The Fly
野獣部隊 Five Gates to Hell
W.R.バーネット
W.R. Burnett
ハイ・シエラ High Sierra
荒野の3軍曹 Sergeants 3
撮影
Cinematography by
ダニエル・ファップ
Daniel L. Fapp
ウエスト・サイド物語 West Side Story
女房は生きていた Move Over, Darling
編集
Edited by
フェリス・ウェブスター
Ferris Webster
荒野の七人 The Magnificent Seven
影なき狙撃者 The Manchurian Candidate
美術
Production Design by
フェルナンド・カレーレ
Fernando Carrere
終身犯 Birdman of Alcatraz
ピンクの豹 The Pink Panther
セット装飾
Set Decoration by
カート・リップバーガー
Kurt Ripberger
アルプスの天使(未) A Gift for Heidi (props)
音楽
Music by
エルマー・バーンスタイン
Elmer Bernstein
荒野の七人 The Magnificent Seven
アラバマ物語 To Kill a Mockingbird
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
スティーヴ・マックィーン
Steve McQueen
Hilts
"The Cooler King"
荒野の七人 The Magnificent Seven
マンハッタン物語 Love with the Proper Stranger
ジェームズ・ガーナー
James Garner
Lt. Hendley
"The Scrounger"
潜望鏡を上げろ Up Periscope
女房は生きていた Move Over, Darling
リチャード・アッテンボロー
Richard Attenborough
Roger Bartlett
"Big X"
激戦ダンケルク Dunkirk
紳士同盟 The League of Gentlemen
ジェームズ・ドナルド
James Donald
Capt. Ramsey
"The SBO"
戦場にかける橋 The Bridge on the River Kwai
火星人地球大襲撃(未) Quatermass and the Pit
チャールズ・ブロンソン
Charles Bronson
Lt. Velinski
"The Tunnel King"
荒野の七人 The Magnificent Seven
テキサスの四人 4 for Texas
ドナルド・プレザンス
Donald Pleasence
Lt. Colin Blythe
"The Forger"
キリマンジャロの決斗 Killers of Kilimanjaro
殺人鬼登場 Circus of Horrors
ジェームズ・コバーン
James Coburn
Flying Officer
Louis Sedgwick
"The Manufacturer"
荒野の七人 The Magnificent Seven
テキサス保安官 The Man from Galveston
ハンネス・メッセマー
Hannes Messemer
Col. von Luger ロベレ将軍 Il Generale della Rovere
野獣兵団 Der Transport
デイヴィッド・マッカラム
David McCallum
Lt. Cmdr.
Eric Ashley-Pitt
"Dispersal"
戦場の七人 The Long and the Short and the Tall
ジャングル横丁 Jungle Street
ゴードン・ジャクソン
Gordon Jackson
Flight Lt.
Sandy MacDonald
原子人間 The Quatermass Xperiment
戦艦バウンティ Mutiny on the Bounty
ジョン・レイトン
John Leyton
Flight Lt.
William Dickes
"The Tunneler"
バタシの鬼軍曹 Guns at Batasi 
脱走特急 Von Ryan's Express
アンガス・レニー
Angus Lennie
Flying Officer
Archibald Ives
"The Mole"
予期せぬ出来事 The V.I.P.s
ナイジェル・ストック
Nigel Stock
Flight Lt.
Denys Cavendish
"The Surveyor"
戦艦デファイアント号の反乱 H.M.S. Defiant
合言葉は勇気 The Password Is Courage
ロバート・グラフ
Robert Graf
Werner
'The Ferret'
Sansibar
Wenn beide schuldig werden
ジャド・テイラー
Jud Taylor
Goff 攻撃 Attack
インターン The Interns
ハンス・ライズナー
Hans Reiser
Herr Kuhn 女と男 La ragazza della salina
ハリー・リーバウアー
Harry Riebauer
German Sgt.
Strachwitz
Les Arrivistes
ロバート・デズモンド
Robert Desmond
Griffith 'Tailor' 生き残った二人 The Cockleshell Heroes
好敵手 The Best of Enemies
トム・アダムス
Tom Adams
Dai Nimmo
('Diversions')
武器の報酬 A Prize of Arms
殺しの免許証 Licensed to Kill
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