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Taxi Driver
タクシードライバー (1976) USA 113min.
Introduction 序盤アウトライン
深夜の街をタクシーで流すトラヴィスは、その掃き溜めのような裏町の情景に鬱積した不満を増長させていた。ある頃、次期大統領候補パランタインの選挙事務所で見かけた美しい選挙運動員ベッツィとの交流を開始したトラヴィスは、漫然とした不安からも解き放たれようとしていたが、そんなある頃、停車中のタクシーに逃げ込んで来た幼い売春婦が、ポン引きの男によって強引に連れ戻されると云う場面に遭遇する。トラヴィスの培う悪に対する不満が確実に増幅されていた頃、彼にとっては闇に咲く一輪の花とも云える存在だったベッツィとも決定的な破局を迎えてしまう。機を迎えたと悟るトラヴィスには、もはや一寸の迷いもなくなっていたーー
Various Note メモ
ブライアン・デパルマが監督をすると云う事で決まりかけていたと云う発足当初のプロダクションだが、最終的には、「ミーン・ストリート」での演出を高く評価していたと云う製作者のマイケル・フィリップスがスコシージに依頼、既に準備に掛かっていたと云うデパルマに対しては、作品の売り上げによるフィリップス個人の収入分から謝罪費用を捻出したらしい。また、ジェフ・ブリッジスもリストアップされていたと云うトラヴィスの配役については、スコシージが監督を引き受ける際に提示されていたデニーロを主演に据えると云うスコシージの第一条件が履行される形になっている。
その当初には、アルバート・ブルックスが演じる選挙事務所の活動員としてのオファーを受けていたと云うハーヴェイ・カイテルだが、台詞のラインが5行程度でも、ヒモ役の方に魅力を感じたと云うカイテルの意向が酌まれる形で配役の変更が行われている。
配役に成りきる為の準備を怠らない事では多くの逸話を残すデニーロだが、本作では、一日12時間勤務と云うスケジュールで一ヶ月間、タクシー運転手として実際に働いた上に、精神病理学についても学習したと云う。また、デニーロが鏡に向って放つモノローグは、その全てが即興だったもので、その脚本も「トラヴィスが鏡を見る」と記述されていただけだったと云う。そして、クライマックスに向うデニーロのモヒカン頭は、実際に剃り上げたものではなく、毛の部分は硬い馬毛で作られていたと云うディック・スミスによるモヒカンカットのカツラを着用したものだった。
75年のイヴに他界してしまった巨匠バーナード・ハーマンだが、その逝去は、本作スコアのレコーディングが完成して僅か数時間後の事だったと云う。遺作となった本作では然るべく最大の敬意が払われている訳だが、その当初、体調を崩していたと云うハーマン本人は、スコアを手掛けるつもりなど毛頭無かったらしい。しかし、シュナップス(アルコール分の強い辛口の蒸留酒)をパンにかけると云うデニーロの食事カットを見た事で、何故かスコア制作を承諾したと云う話だが、これは、何とも感想も云い難いエピソードと云った所。
スコシージによれば、劇中で最も重要な場面は、ベッツィとの仲を取り戻そうとするトラヴィスが何度も電話を試みるカットだと云う。周知の通り、このカットは、クライマックスへ向う伏線としては非常に大きな場面。
撮影当時の年齢では、際どいカットへの登場が法的に不可能だったジョディ・フォスターの代わりに、彼女の年長の姉コニー・フォスターがジョディのダブルとして登場している。そのジョディ・フォスターがアイリスの役を学ぶ為に手本としたプロの女性は、アイリスの同僚として劇中に登場する女性(ガース・エイヴァリー)が正にその人。また、アイリスの両親が終盤の新聞紙に写真として登場するが、その母親として映し出される女性はスコシージ監督の母親である。
その公開から5年後の81年、本作でフォスターの熱狂的ファンとなった男が、レーガン大統領の暗殺未遂事件を引き起こした事は周知の所。やがて、イェール大学への入学で学業と舞台に専念出来るようになったフォスターだが、映画界からは完全に退く事を余儀なくされていた。
ポール・シュレーダーが書き下ろしたシナリオでは、ヒモの一味は全てが黒人と云う設定だったが、多方面からの反発を憂慮するスコシージの提案を経て劇中での通りに書き換えられている。シュレーダーによるシナリオは、72年のジョージ・ウォレス大統領候補暗殺未遂の犯人アーサー・ブレマーによる獄中手記に触発されてのものだったと云う。
現在とは様相も異なる70年代のNY、その夜の界隈で覗き見た数々の矛盾がストレスとして蓄積、自身の存在価値すらも侵食されるようになる。善と悪と云う二面性の価値観が生み出してしまう迷路、その袋小路に入り込んでしまった実直な男の物語である。語り手となるトラヴィス(デニーロ)のモノローグ、運転手仲間との会話、トラヴィスの知性が惜しみなく発揮されるベッツィへの口説き文句、浮気する女房を44マグナムで仕留めると話すイカレた乗客(スコシージによる怪演)の台詞など、活力に満ちたスクリプトが終始躍動。夜の界隈を捉えた美しい映像も悉く素晴らしい。ジーン・クルーパーやチャック・ウェッブの物真似をするスネアの男、DTMなども無く、楽器を演奏しなければ音楽と云うものが成立しなかった良き時代を象徴するカットである。
劇中で死を迎えるキャラクターは僅か4人(トラヴィスに撃たれ店主にも暴行を受ける黒人の強盗とポン引き一味の2人、上がりを回収するギャング)だけだが、あのクライマックスでの未曾有の迫力を目の当たりにすれば、所謂アクションとカテゴライズされるような生粋の活劇などでも足元に及ばないと云った所。闇屋から銃を調達して以降、トレーニングに没頭するトラヴィスだが、基本的には、タクシー運転を生業とする普通の男。しかし、そのトラヴィスによって引き起こされる光景は、対峙した相手の右掌がブッ飛び、自身が被弾した弾丸も首を貫通、部屋にいたギャングの顔面には数発もの弾丸が打ち込まれると云った地獄絵巻である。ここまでのヴァイオレンス描写が待ち受けているとは露程にも予測していなかった為に、その衝撃度も半端ではなかったものだが、その極め付けは、血の滴る左手によるデニーロのパフォーマンスである。しかし、続いて迎える帰結ではコントラストも豹変、四面楚歌の状況に陥っていたはずの男がヒーローとしての出口を通過してしまう訳だが、ベッツィを降ろした後でルームミラーを慌てて覗き見ると云う等身大のオチも忘れられてはいない。傑作中の傑作。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
マーティン・スコシージ
Martin Scorsese
明日に処刑を Boxcar Bertha
ミーン・ストリート Mean Streets
アリスの恋 Alice Doesn't Live Here Anymore
ニューヨーク・ニューヨーク New York, New York
製作
Produced by
マイケル・フィリップス
Michael Phillips
スティング The Sting
弾丸特急ジェット・バス The Big Bus
未知との遭遇 Close Encounters of the Third Kind
ジュリア・フィリップス
Julia Phillips
脚本
Written by
ポール・シュレイダー
Paul Schrader
ザ・ヤクザ The Yakuza
愛のメモリー Obsession
撮影
Cinematography by
マイケル・チャップマン
Michael Chapman
さらば冬のかもめ The Last Detail
ウディ・アレンのザ・フロント The Front
編集
Edited by
トム・ロルフ
Tom Rolf
ロリ・マドンナ戦争 Lolly-Madonna XXX
フレンチ・コネクション2 French Connection II
メルビン・シャピロ
Melvin Shapiro
栄光の野郎ども The Glory Guys
夕陽に向かって走れ Tell Them Willie Boy Is Here
特殊メイク
Special makeup
ディック・スミス
Dick Smith
ゴッドファーザー The Godfather
エクソシスト The Exorcist
ゴッドファーザーPARTⅡ The Godfather: Part II
美術
Art Direction by
チャールズ・ローゼン
Charles Rosen
ビッグ・ウェンズデー Big Wednesday
メーン・イベント The Main Event
衣装デザイン
Costume Design by
ルース・モーリー
Ruth Morley
ハスラー The Hustler
ホット・ロック The Hot Rock
音楽
Music by
バーナード・ハーマン
Bernard Herrmann
* トム・スコットによるアルトもフィーチャー
サイコ Psycho
華氏451 Fahrenheit 451
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
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Robert De Niro
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ゴッドファーザーPARTⅡ The Godfather: Part II
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シビル・シェパード
Cybill Shepherd
Betsy ラスト・ショー The Last Picture Show
ふたり自身 The Heartbreak Kid
レディ・バニッシュ 暗号を歌う女 The Lady Vanishes
ピーター・ボイル
Peter Boyle
Wizard 候補者ビル・マッケイ The Candidate
ヤング・フランケンシュタイン Young Frankenstein
ジョディ・フォスター
Jodie Foster
Iris Steensma 別れのこだま Echoes of a Summer
ダウンタウン物語 Bugsy Malone
白い家の少女 The Little Girl Who Lives Down the Lane
ハーヴェイ・カイテル
Harvey Keitel
'Sport' Matthew ミーン・ストリート Mean Streets
アリスの恋 Alice Doesn't Live Here Anymore
マッド・フィンガーズ Fingers
レオナルド・ハリス
Leonard Harris
Sen.
Charles Palantine
ニューヨークの恋人 Hero at Large
アルバート・ブルックス
Albert Brooks
Tom プライベート・ベンジャミン Private Benjamin
殺したいほど愛されて Unfaithfully Yours
ダイアン・アボット
Diahnne Abbott
Concession girl ニューヨーク・ニューヨーク New York, New York
キング・オブ・コメディ The King of Comedy
フランク・アドゥー
Frank Adu
Angry black man 110番街交差点 Across 110th Street
ウッディ・アレンの愛と死(未) Love and Death
ヴィクター・アルゴ
Victor Argo
Melio ミーン・ストリート Mean Streets
ザ・ファミリー The Don Is Dead
ガース・エイヴァリー
Garth Avery
Iris' friend * 本物のコールガール
ジーン・パルマ
Gene Palma
Street drummer * ストリート・ドラマー
Not a Love Story: A Film About Pornography
ジョー・スピネル
Joe Spinell
Personnel officer ゴッドファーザーPARTⅡ The Godfather: Part II
ロッキー Rocky
ロビン・ウット
Robin Utt
Campaign worker オール・ザット・ジャズ
 All That Jazz (production assistant)
マーティン・スコシージ
Martin Scorsese
Homicidal
passenger
* 監督も兼任
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