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Plein soleil
太陽がいっぱい (1960) France / Italy 122min.
Introduction 序盤アウトライン
トム・リプリーは、ナポリでの放蕩生活に耽る御曹司フィリップ・グリーンリーフを米国に連れ戻すべく、資産家であるフィリップの父親から5千ドルで雇われた男だった。奇妙な関係の2人が刹那的な日々を送っていたある日、米国からトム宛に契約解除の通告が届く。それは、トムの契約履行を証明出来るはずだった手紙を、フィリップが米国の父親宛に差し出していない為だった。そんな中、トムとフィリップは、フランス人女性マルジェを交えた3人でヨットに乗り込む。金で雇われたトムを蔑むフィリップ、虐げられた事への復讐心に燻っていた野心が拍車を掛けるトム、それぞれの思惑が交錯する中、太陽の日差しが照りつけるチレニア海で事態は急展開を迎えようとしていたーー
Various Note メモ
初公開から四十余年、悪魔のような強かさと機知に富んだ頭脳を持ち合わせたキャラクターと云ったイメージも定着するトム・リプリー(アラン・ドロン)だが、実の所は微妙である。貧しい出であると云うリプリーの素性についても、マルジェを前にした真偽も定かではない会話でリプリーの口を吐いて語られるだけで、実の所は全く不明のままである。パスポート偽造やサイン偽造が出来る水準での手先の器用さと、財産を獲得する為に女性を利用すると云う強かさを持ち合わせていると云う事は明確に提示されているが、その行き当たりバッタリの印象で描かれる犯行経緯を見る限り、自らの野心を実現する為には手段も選ばぬ悪魔的なキャラクターと呼ぶには難がある。
シスコに顔を出してさえくれれば5千ドルは貰えるとフィリップに懇願したリプリーには偽りのなかった所で、ナポリで貴婦人と戯れた際に入手するアクセサリーも、どの段階で利用するかと云った具体的なプランは無かったようにも見える。その犯行手順も完全犯罪どころか、行き当たりバッタリの穴だらけの状況を漸く繕うと云った所。フィリップのアパートに残された指紋と、突発的に第二の犠牲者となったフレディーの車に残された二つの指紋は共にリプリーのものだが、指紋を採取した警察はフィリップの指紋だと、ただ単に勘違いをしてしまっただけだった訳である。確かに、フレディーの車の中から採取されたフレディー以外の人物の指紋が、フィリップのアパートから採取された複数の指紋の何れかと合致すれば、第一容疑者と目されるフィリップのものだと勘違いする事にも取り敢えずは頷ける訳だが、フィリップ本人の指紋採取が行われてはいないにも拘らず、フィリップの指紋と断定してしまうと云う警察の勇み足によってリプリーは救われている訳である。仮に、関係者全員に対する操作手順とか云う御座なりの名目でリプリーの指紋が採取されていれば、フレディーの車の指紋との合致が確認された段階でリプリーは即刻アウトだったはず。
パスポート偽造やサイン偽造が出来ると云うスキルも活かされた偽装工作には違いないが、劇中で描かれるリプリーと云う人物像は、悪魔的な強かさで第一級殺人たる謀殺行為に身を投じると云ったものではなく、横柄で人を蔑むような人物たちに罰を与えると云う、ある意味、弾けてしまった感性で勧善懲悪を実行してしまうと云う等身大のものとして描かれているものである。勧善懲悪と言い切るには語弊もあると云った所だが、一見、器用には見えても、実は崖っぷちで必死に逃げ切ろうとしているリプリー、その等身大のスタンスで描かれる緊張感には思わず引き込まれてしまうが故にあのクライマックスにも衝撃を覚えてしまうのである。素人の目にも穴だらけと云った偽装工作ながらも、気が付けばクライマックスを迎えていると云うシナリオだが、ミステリーでは禁じ手とも思わせるあの唐突で大胆すぎるクライマックスには、意表を衝かれてしまう。しかも、リプリーのシンパと化している観客が「太陽がいっぱいだ(中略)最高だ。最高だ。」と云う邦題タイトルにも引用された名台詞が展開されるカットを魅入った直後に、あのグロテスクなカットが提示される訳だが、この唐突で対照的な展開で見せられる明暗のギャップは、他に類を見ない衝撃度と云った所。
パイオニアからリリースされているDVDだが、あのタイトルライターの手書きを意識した字幕フォントは、言葉にならぬほど素晴らしいもので、従来の字幕映像と比較すれば、その印象には天と地の開きがある。ただ、リプリーとフィリップがヨットの上でポーカーに興じる場面で「スリーカードだったはずだ」と云う字幕は、「同数字の手札が3枚あったはずだ」と云う意味で使われたものだと思うのだが、云うまでも無く「スリーカード」と云うのは上がり手となる固有名詞でもある為に、一瞬、違和感を感じてしまったものである。フィリップが得た本当の手札はキングと10のフルハウス、しかし、敢えて負ける為にトリプルだった10のうちの1枚を他のカードと交換し「トゥーペアだった」と嘘をつく訳だが、ここはダイレクトに「フルハウスだったはずだ」と表示して欲しかった所。何れにせよ、タイトルライターの方の手書きを意識した字幕フォントは、実にファンタスティックなもので、劇場鑑賞の経験に乏しいビデオエイジの方々には殆ど興味のないものだと思うが、名画を保存しリピートして楽しもうとするファンにとっては、極端な話、購入意欲にまで影響を及ぼすものである。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ルネ・クレマン
Rene Clement
禁じられた遊び Jeux interdits
しのび逢い Monsieur Ripois
海の壁 This Angry Age
製作
Produced by
ロベール・アキム
Robert Hakim
二重の鍵 À double tour
昼顔 Belle de jour
裸足のイサドラ Isadora
夜明けのマルジュ La Marge
レイモン・アキム
Raymond Hakim
原作
Based on the novel by
パトリシア・ハイスミス
Patricia Highsmith
novel "The Talented Mr Ripley/Monsieur Ripley"
見知らぬ乗客 Strangers on a Train
脚色と台詞
Adaptation & Dialogue by
ルネ・クレマン
Rene Clement
* 監督も兼任
ポール・ジェゴフ
Paul Gégauff
二重の鍵 À double tour
モア More
撮影
Cinematography by
アンリ・ドカエ
Henri Decaë
死刑台のエレベーター Ascenseur pour l'échafaud
二重の鍵 À double tour
大人は判ってくれない Les quatre cents coups
編集
Edited by
フランソワ・ジャヴェ
Françoise Javet
しのび逢い Monsieur Ripois
禁男の家 Club de femmes
美術
Production Design by
ポール・ベルトラン
Paul Bertrand
女の一生 Une vie
広場 Terrain vague
衣装デザイン
Costume Design by
ベラ・クレマン
Bella Clément
 
音楽
Music by
ニーノ・ロータ
Nino Rota
戦争と平和 War and Peace
甘い生活 La dolce vita
若者のすべて Rocco e i suoi fratelli
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
アラン・ドロン
Alain Delon
Tom Ripley
Philippe Greenleaf
学生たちの道 Le chemin des écoliers
若者のすべて Rocco e i suoi fratelli
モーリス・ロネ
Maurice Ronet
Philippe Greenleaf 死刑台のエレベーター Ascenseur pour l'échafaud
スパイ戦線 Carve Her Name with Pride
マリー・ラフォレ
Marie Laforêt
Marge Duval 赤と青のブルース Saint Tropez Blues
ジャガーの眼 Marie-Chantal contre le docteur Kha
エルノ・クリザ
Erno Crisa
Riccordi 白い国境線 Cuori senza frontiere
チャタレイ夫人の恋人 L'Amant de lady Chatterley
フランク・ラティモア
Frank Latimore
O'Brien 純愛 Core 'ngrato
危険な階段 Les Scélérats
ビリー・キアーンズ
Billy Kearns
Freddy Miles 渚のたたかい Up from the Beach
プレイタイム Playtime
アヴェ・ニンキ
Ave Ninchi
Signora Gianna 非情の切り札 House of Cards
好奇心 Le souffle au coeur
ヴィヴィアーヌ・シャンテル
Viviane Chantel
The Belgian lady Le cocu magnifique
Les Atouts de Monsieur Wens
ネリオ・ベルナルディ
Nerio Bernardi
Agency Director 残酷な夜 La lunga notte del '43
殺しのビジネス Se tutte le donne del mondo
リリー・ロマネッリ
Lily Romanelli
Housekeeper Cerasella
Tototruffa '62
ニコラス・ペトロフ
Nicolas Petrov
Boris ロレンツォのオイル 命の詩 Lorenzo's Oil
エルヴィーレ・ポペスコ
Elvire Popesco
Mrs. Popova シュヴァリエの流行児 L'Homme du jour
ポール・ミューラー
Paul Muller
Blind Man
(uncredited)
* ノークレジット
イタリア旅行 Viaggio in Italia
吸血のデアボリカ(未) Count Dracula
ロミー・シュナイダー
Romy Schneider
Freddy's companion
(uncredited)
* ノークレジット
恋ひとすじに Christine
セクシー・ガール Die Halbzarte
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