Introduction　序盤アウトライン：

コロンビアで活火山の調査に当たっていた火山地質学者ハリー・ダルトンは、突如、迎えた大噴火によって最愛の恋人を奪われてしまう。その４年後、噴火の可能性は万に一つとされながらも、米北西部太平洋岸に位置する休火山「ダンテズ・ピーク」の調査に臨むべくその麓の町を訪れていたダルトンだったが、やがて目の当たりにしたのは、温泉スポットに浮遊する若い男女の遺体と、夥しい数の小動物たちの死骸だった。町議会関係者を招集し、緊急避難も視野に入れた住民への説明を促すダルトンだったが、好からぬ噂によってもたらされる町の経済損失を憂慮する調査チームの主任ドレイファスは、その意見も一蹴、ダルトンを調査チームから外してしまう。一方、町の女性町長ワンドとの私的な交流が芽生えていた事から、町への残留を決意していたダルトンは、イオウ化する水道水の異変から迫り来る大噴火を確信する。その科学的証拠が提示された事で、ようやく実施された住民への説明会だったが、時既に遅く、学校体育館に町中の人々が集う中、ダンテズ・ピークが遂にその噴火の時を迎えてしまうーー

Various Note　メモ：

コロンビアでの悲劇を描き出した掴みのシークエンスから釘付けにされる。迫力満点。利益を優先する町の行政担当者や強欲なチャーターヘリの業者、そして、主人公らを危機に陥れる女性町長の義母や危機的状況を訴える主人公に対して耳を貸そうとはしなかった主人公の上司ポールなど、ハッピーエンドのシナリオではネガティヴな存在だったキャラクターたちが漏れなく淘汰されると云うパニック映画ならではのシビアな展開の一方では、女性町長の子供たちが可愛がっていた飼い犬までをも生かしてしまうと云う半ば能天気なコントラストで展開される娯楽要素にも満ちたシナリオだが、実際の印象はと云えば、カット編集も絶妙なド迫力の映像に緊張させられっぱなしの１１０分と云った所。

町の経済的損失を憂慮する関係者や、無暗に警告は打ち出せないと語る主人公の上司など、実は、犠牲になってしまうこれらの人物たちの言い分には尤もと頷ける所。ポセイドン・アドベンチャーのワンカットを髣髴とさせる町長の義母の末路についても、責任を取ると云う形で描き出されている訳だが、やはり、こうなってしまえば、これらそれぞれのモチーフについても、パニック作品を構成する為に挿入された便宜的なモチーフと云った印象は払拭されてしまう所で、最終的には、真しやかな悲劇のコントラストを彩るにも充分なモチーフだったと納得させられる。自然災害を相手にするジェームズ・ボンドと云った印象のピアース・ブロスナンだが、その不死身のヒーロー的な立ち回りにも、厭らしさはなかったもので、むしろ、００７シリーズよりその好感度も大きかったりする。

昨今の最先端ＣＧなどを駆使すれば、更にリアルな映像になってしまうと云った所だが、実写映像とデイオラマ的な映像をリンクさせての特殊効果や、新聞を裁断したアイテムを火山灰に見立てて使用すると云った手作りの特殊効果も実に効果的だった。やはり、アナログのテイストが充満する映像には、絶大なる好印象を抱かされると云った所。撮影はアイダホ州ウォレスでのロケーションを敢行、背景となるダンテズ・ピークの風景は、デジタル画像処理によるもの。とにかく、冒頭から凄い。