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The Graduate
卒業 (1967) USA 105min.
Introduction 序盤アウトライン
優良な成績で大学生活を終えたベンジャミンは、その人も羨む華やかなキャリアとは裏腹の不透明な虚脱感に苛まれていた。ある頃、両親が主催したパーティーで両親の親しい知人ロビンソン夫人と急接近したベンジャミンは、その心の隙間を埋めるかのように、夫人との肉体関係に溺れるようになってしまう。罪悪感に駆られながらも、夫人との関係から身を引けずにいたベンジャミンだったが、美しく成長していたロビンソン夫人の一人娘エレインとの再会によって、彼の等身大での純粋な恋心が引き出されるようになっていた。やがて、ベンジャミンは、娘との接近に釘を刺すロビンソン夫人を尻目に、ヘレンとの恋愛関係を築き上げようとするのだがーー
Various Note メモ
愛憎渦巻くソープにもなりかねぬと云った様相を呈するシナリオだが、現実には、マイク・ニコルズによる非凡な演出とS&Gの楽曲センスによって純愛路線でも金字塔のレベルにまで引き上げられてしまったと云う作品である。ストリップバーのシークエンスなどを除けば、各々のシークエンスにリンクさせる為のグルーシンのスコアは全く用意されていない訳だが、特筆すべきと云えば、S&Gの挿入曲とその各楽曲のモチーフにより、鬼気迫るバンクロフトの表情にも象徴されるどん底の愛憎世界を描いたシナリオが、ほろ苦い純愛路線のカラーに染め上げられてしまっている事である。冷静に考えてみても、母子二股を掛けてしまうと云うモチーフと純愛を貫こうとするモチーフが相容れるはずもなく、サスペンスやソープ系の2時間枠ドラマなどでも、その成功例など記憶にない。
劇中で披露される音楽は、GRPの創設者の一人として後に大ブレークするデイヴ・グルーシンとS&Gが連なるクレジットながらも、コラボではないもので、その両者が絡みを見せる事も皆無と云う2チャンネル形式によるものだが、ストリップ劇場でのBGM「グレート・エフェクト」のように、飽く迄もアディッショナルと云ったグルーシンのスコアに対して、S&Gの楽曲とそのモチーフは全体を占めるものである。
製作当時には既成曲としてリリースされていた「サウンド・オブ・サイレンス」は、作品のテーマソングとして紹介される事も多い楽曲だが、その演出の意図から察すれば、テーマソングと認知するにも違和感を覚える所。本作の為に書き上げた唯一の挿入曲と云えば「ミセス・ロビンソン」だが、後にヒットしたヴァージョンは4thアルバム「ブックエンド」に収録、本作で披露されたヴァージョンでは、ドラマの展開に楔を打つといった程度の披露に留まっている。コンセプトにもリンクされ、劇中で最も印象を残す挿入曲は、様々なバリエーションで披露される「スカボロー・フェア/詠唱」である。ちなみに、ベンジャミン(ホフマン)が、エレイン(ロス)を追って下宿を見つけた直後、大学の構内が映し出されるシークエンスで使用されるフルートが主旋律を奏でるヴァージョンは、劇中でのみ披露されるもので、S&Gのアルバムはもとよりサントラでも聴けない貴重なヴァージョン。
グルーシンによる追加「スコア」とS&Gによる「挿入曲」と云ったコントラストで紹介される音楽トラックだが、実際の所はやや違う。実は、S&Gの方も挿入曲の提供だけに留まっていたものではなく、フィルムにリンクするプレイも披露している。クライマックスに向けて猪突猛進するベンジャミンの車がガス欠になる場面でリットされるアコギのカッティング、やがて、式場に到着し、あの名場面の直前で鳴らされるC-G-G9-G(全てルートはG)と云う4つのコードなど、これらは、スコアとも呼ぶべき重要なサウンドだった訳だが、ガス欠のBGMの方は、サントラでも聴けるものの、後者のコードワークは劇中でしか聴けないもので、ラッシュに合わせてプレイされたとも思えるS&Gによる貴重な音である。
DVDに収録されている特典スポットでは、製作秘話と云うコンテンツで非常に面白い話なども紹介されている。高画質のオリジナル予告編の収録も嬉しい。白い運動着に身を纏った女子大生たちがバスケットボールに興じるエレインの大学でのカットなど、時代的なギャップを余儀なくされる映像も飛び出すが、シナリオ、演出、パフォーマンスの3拍子に加え、永遠の名曲が織り成すその内容は、時代を超えた面白さに満ちている。永遠の名作。余談だが、ベンジャミンの恋敵カールの同級生役として、リチャード・ドレイファスもロッカールームのシークエンスで顔を出している。
1967年度の米アカデミーでは、マイク・ニコルズが「監督賞」を受賞、同年度ゴールデン・グローブでは、コメディ/ミュージカル部門での「作品賞」と「女優賞(アン・バンクロフト)」、そして「監督賞」「若手有望男優賞(ダスティン・ホフマン)」「若手有望女優賞(キャサリン・ロス)」をそれぞれに受賞。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
マイク・ニコルズ
Mike Nichols
バージニア・ウルフなんかこわくない
 Who's Afraid of Virginia Woolf?
キャッチ22 Catch-22
イルカの日 The Day of the Dolphin
ワーキング・ガール Working Girl
製作
Produced by
ローレンス・ターマン
Lawrence Turman
愛の勝利 Stolen Hours
恋とペテンと青空と The Flim-Flam Man
製作総指揮
Executive Producer
ジョセフ・E.レヴィン
Joseph E. Levine
カロリーナ Il Tigre
大列車強盗団 Robbery
原作
Based on the novel by
チャールズ・ウェッブ
Charles Webb
The Marriage of a Young Stockbroker
脚色
Screenplay by
カルダー・ウィリンガム
Calder Willingham
突撃 Paths of Glory
片目のジャック One-Eyed Jacks
バック・ヘンリー
Buck Henry
キャッチ22 Catch-22
イルカの日 The Day of the Dolphin
撮影
Cinematography by
ロバート・サーティース
Robert Surtees
ベン・ハー Ben-Hur
戦艦バウンティ Mutiny on the Bounty
コレクター The Collector
編集
Edited by
サム・オースティーン
Sam O'Steen
バージニア・ウルフなんかこわくない
 Who's Afraid of Virginia Woolf?
暴力脱獄 Cool Hand Luke
美術
Production Design by
リチャード・シルバート
Richard Sylbert
バージニア・ウルフなんかこわくない
 Who's Afraid of Virginia Woolf?
ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby
衣装デザイン
Costume Design by
パトリシア・ジップロット
Patricia Zipprodt
Last of the Mobile Hot Shots
音楽
Music by
ポール・サイモン
Paul Simon
* サイモン&ガーファンクル
追加スコア
additional music
デイヴ・グルーシン
Dave Grusin
コンドル Three Days of the Condor
スクープ・悪意の不在 Absence of Malice
トッツィー Tootsie
挿入曲
Various Music
The Sound Of Silence - Simon And Garfunkel
Mrs. Robinson - Simon And Garfunkel
Scarborough Fair / Canticle (Interlude) - Simon And Garfunkel
April Come She Will - Simon And Garfunkel
Scarborough Fair / Canticle - Simon And Garfunkel
The Big Bright Green Pleasure Machine - Simon And Garfunkel
Mrs. Robinson - Simon And Garfunkel
The Sound Of Silence - Simon And Garfunkel
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
ダスティン・ホフマン
Dustin Hoffman
Benjamin Braddock 真夜中のカーボーイ Midnight Cowboy
ジョンとメリー John and Mary
小さな巨人 Little Big Man
わらの犬 Straw Dogs
キャサリン・ロス
Katharine Ross
Elaine Robinson シェナンドー河 Shenandoah
歌え!ドミニク The Singing Nun
明日に向って撃て!
 Butch Cassidy and the Sundance Kid
アン・バンクロフト
Anne Bancroft
Mrs. Robinson 奇跡の人 The Miracle Worker
女が愛情に渇くとき The Pumpkin Eater
ウィリアム・ダニエルズ
William Daniels
Mr. Braddock かわいい女 Marlowe
パララックス・ビュー The Parallax View
マーレイ・ハミルトン
Murray Hamilton
Mr. Robinson ハスラー The Hustler
絞殺魔 The Boston Strangler
エリザベス・ウィルソン
Elizabeth Wilson
Mrs. Braddock ピクニック Picnic
愛の奇跡 A Child Is Waiting
鳥 The Birds
ブライアン・エイヴァリー
Brian Avery
Carl Smith 嘆きの天使 The Blue Angel
黙示録の四騎士 Four Horsemen of the Apocalypse
ウォルター・ブルック
Walter Brooke
Mr. McGuire 宇宙征服 Conquest of Space
裏切り鬼軍曹 Sergeant Ryker
ノーマン・フェル
Norman Fell
Mr. McCleery オーシャンと十一人の仲間 Ocean's Eleven
ニューヨーク泥棒結社 Fitzwilly
マイク・ファレル
Mike Farrell
Bellhop
in hotel lobby
宇宙大征服 Countdown
殺人者はライフルを持っている!(未) Targets
バック・ヘンリー
Buck Henry
Hotel Desk Clerk
(uncredited)
* 脚本も兼任/カメオ出演
リチャード・ドレイファス
Richard Dreyfuss
Apartment house
resident
(uncredited)
* ノークレジット
哀愁の花びら Valley of the Dolls
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