Introduction　序盤アウトライン：

ロス・ウェブスターは、自らが開発した悪魔的な性能を誇るコンピューターで世界市場をコントロールしようとしていた。唯一、支配権を得る事が出来ないコロンビアのコーヒー畑を壊滅する事により、その市場での独占を図らんとするロスは、その致命的なダメージを与えるべく、気象衛生を自由にコントロールする事で大雨を降らせるが、その野望もスーパーマンの活躍で敢え無く打ち砕かれる。激怒したロスとその一味は、スーパーマン唯一の弱点であるクリプトナイトの破片を散りばめた磁場にスーパーマンを誘い出す事に成功、磁場の影響を受けたスーパーマンは善悪の判別が出来なくなってしまうーー

Various Note　メモ：

石炭をダイアモンドに変えてしまうと云うアイディアは、初期のコミックから引用されている。また、ピサの斜塔を真っ直ぐにしてしまうと云うカットは、そもそもが第一作目でメガホンを取ったリチャード・ドナーの考案したアイディアで、リチャード・レスターに引き継がれる以前の段階では、前作で挿入されるはずだったと云うカットである。また、エンドクレジットの際に宇宙を旋回するスーパーマンを捉えるカットは、第一作目で使用されたカットがそのまま使用されているもので、他のシリーズ作品（２＆４）でも共有している同一のカットである。

前作でのリチャード・ドナーの予期せぬ降板劇には大いに憤慨したと云うマーゴット・キッダー、今回は、終盤での５分足らずと云う出演になってしまったが、悪者退治の筋書きを背景に、クラークとロイスの恋路を展開すると云うシリーズの心臓部とも言えるモチーフがその片鱗も見せないシナリオには、やはり、違和感を感じたものである。そもそもは「スーパーマンｖｓスーパーマン」と云うオリジナル・タイトルを持っていた本作だが、スーパーマンが善悪のコントロールを失っている最中に、巨悪が世界経済を混乱に陥れると云うモチーフにも決して悪い印象は無いもので、むしろ、最強最悪の敵とも云える己との戦いを描き出したシナリオには斬新な印象すらある。しかし、スーパーマンの葛藤を描き出すモチーフや、当代随一のコメディアンだったリチャード・プライヤーと云う切り札を以ってしても、正直な所、クラークとロイスの恋路を描いたモチーフには及ばぬと云った印象だった。

何より驚いたのは、クライマックスの後に、ロイスを登場させた事である。これは、好物ではないものを腹一杯食べた後、退席しようかと云う間際に大好物のメニューをひょっこり出されるような感覚である。キッダーとオトゥールが次回作以降に火花を散らすと云った布石にでもなっていれば歓迎も出来た訳だが、後の４作目で明らかにされる通り、ここでのロイスの登場は、製作側の抱えるさまざまな事情が見え隠れするだけのフィナーレだったと云う訳である。その内容を度外視した個人的な感想としては、「ワン・オン・ワン」以来のファンだったアネット・オトゥールの出演に救われたと云った所。ちなみに、彼女は０１年からスタートした「ヤング・スーパーマン」にも出演、当然の事ながらラナ・ラングの配役は若手に譲り、クラークの養母として登場している。