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Tenebre
シャドー (1982) Italy 110min.
Introduction 序盤アウトライン
ローマ。NY在住の人気ミステリー作家ピーター・ニールが、新作「暗やみの祈り」のプロモーションのために当地を訪れる中、市内のデパートで「暗やみの祈り」を万引きした若い女エルザが、邸内に潜んでいた何者かの手で惨殺される。一方、記者会見も終えてホテルに帰り着いたピーターは、エルザの事件を担当する刑事ジェルマニの予期せぬ来訪を受けるが、その用件は、事件現場に「暗やみの祈り」のページが散乱していた事での聞き込みだった。実は、当地を訪れてからの短時間の間、手荷物荒らしの被害や不気味な置手紙を差し出されていたピーターは、寝耳に水だったエルザの事件についても捜査協力を快諾するが、そんな最中、ピーターの部屋に一本の電話が鳴り響く。それは、部屋の様子も窺い知れる近距離から届けられた犯人からの連続殺人の予告だったーー
Various Note メモ
連続殺人事件に巻き込まれた人気作家を主軸に鮮やかな捻りを織り成す一遍。オリジナル脚本(原案+脚本)と演出は「歓びの毒牙」「わたしは目撃者」「4匹の蝿」「サスペリアPART2」「サスペリア」のダリオ・アルジェント。米国公開版での「ジョージ・ケンプ」と云う共同ライター名はアルジェントの変名。ちなみにイタリア公開版での執筆クレジットはアルジェントのみ。製作+製作総指揮のアルジェントファミリーはもとより、撮影のルチアーノ・トヴォリ、編集のフランコ・フラティチェッリ、美術のジュゼッペ・バッサン、衣装デザインのピエランジェロ・チコレッティ、そしてゴブリンの草創期の面子シモネッティ=ピニャテッリ=モランテなど「サスペリア」のスタッフが再集結。キャストの方でも、アルジェント作品常連のフルヴィオ・ミンゴッツィがホテルの経営者役で登場(クレジットではポーターだが、ダイアローグから察すれば経営者)。公開当時、クレーンを使ってのカメラワークも話題に。
公開当時、マランゴーロを除く面子が再会を果たしたサントラは、ゴブリンのファンのみならず巷でも俄かな話題になっていたが、何よりここでは、アルジェントのシナリオに注視したい所。魔女伝説さながらと云った不可解な印象に終始していた「インフェルノ」から一変、ここでのポテンシャルは70年代序盤の作品群をも凌駕。魔女モノと正攻法サスペンスではそもそもの土俵から違う訳だが、動物や昆虫を不吉のサインにする定番のモチーフとも決別する中(短気な犬は登場するが)、ここでのオーソドックス且つ上質な捻りはアルジェントのキャリアでも異色のクオリティ。そんなある種の野心と自信は、米国公開時には執筆のクレジットで二人羽織を装うなど、従来のイメージ払拭を試みていた辺りからも伺える。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
アウトラインは、ミステリ作品に触発された犯人が連続殺人に手を染める中、その犯人の正体に気付いたミステリ作家が、事件に便乗する形で浮気者の婚約者とその愛人の殺害を計画、やがて、罪を被せる犯人を手始めに、標的の婚約者カップルや邪魔者キャラなどがミステリ作家の毒牙に掛かる中、真相に気付いた刑事やヒロインなどが入り乱れての天罰的な急転直下のクライマックスで幕を下ろすと云うもの。ついては、2人の犯人を抱えていたこのシナリオ、前半部分の事件とは無関係な事も明らかなミステリ作家の一人称を貫いていた辺りが出色だった訳だが、ヒロイン演じるニコロディの大絶叫が響き渡る中、パワフルな殺戮シーンの数々に耐え抜いての消耗感を余儀なくされる事も確か。
万引き常習犯の女性を皮切りに、レズビアンの女性編集者とその相手、ホテルの娘、第一の犯人、便乗犯のエージェント、雑用係の青年、便乗犯の婚約者、女性刑事、男性刑事(ジェンマ)と、あろう事かヒロイン(ニコロディ)を除く登場キャストが皆殺しになる中、そのどれもが凄惨な映像と来れば、そんなビジュアル面でのインパクトがシナリオの知性をぶち壊していたようにも思える所だが、よくよく考えてみれば、上質の捻りと怒涛のヴィジュアルの双方にインパクトがある作品と云うのもかなり稀。と云うより、そんなコンセプトが定番のジャーロでもその殆どはアンバランスなものばかり。第二の犯人を一人称に構える中、悠然としたスタンスをクライマックスまで貫くこのシナリオは、やはりフツー以上に評価されるべき。ちなみに、自身が被ったストーカー被害をモチーフにしていたと云うアルジェントだが、そんなアイディアが活かされていたと思えるのも国営放送RAI制作の「サイコ・ファイル」を髣髴とさせる序盤だけ。最も意外な人物を犯人に据える辺りは「歓びの毒牙」にも近いが、ここでのポリフォニックな骨子にアルジェント作品での前例はない。
ファンの期待も裏切る仰天の配役となるジュリアーノ・ジェンマや、偏執的な異常犯を体当たりで演じるアンソニー・フランシオサなどキャスティングのサプライズも功を奏していた。ニコロディの美しさも、恐らくはキャリアの中でもピカイチ。そんな彼女の絶叫シーンもサスペンス史上では屈指のもの。デパルマの「ミッドナイト・クロス」では絶叫シーンのアフレコの難しさがコミカルにレクチャーされていたが、そんな映像を参照にすれば、ここでのニコロディの絶叫シーンが如何に凄かったかと云う事を認識させられる。
絶叫シーンと云えば、そのクライマックスに続く日本公開時のエンディングテーマは、キム・ワイルドの「テイク・ミー・トゥナイト」だったが、このテーマ曲の挿入は英米など英語圏での配給先が独断で行っていたもので、アルジェントとシモネッティはかなり不快な思いをさせられた模様。当然、後年リリースされた各メディアのエンディングは「アルルラ、アルルラ・・」と云うシモネッティ=ピニャテッリ=モランテのテーマ曲だったが、キム・ワイルドのエンディングヴァージョンについては、米アンカーベイ社製のDVDで復刻が実現(リマスター日本盤は未確認)。公開当時、サントラには未収録だった為にEP盤を購入させられた「テイク・ミー・トゥナイト」だが、DMXのようなリズムがオケの基本プログラムのこの曲、公開当時は本編スコアの番外トラックなのかと勘違いさせられていた記憶も。ロックスピリット満点のディストーションも何気にモランテみたいだったので。
ちなみに、英米などでの公開版とイタリア公開版は、エンディングに限らずオープニングがソックリ違う。オープニングでの小説の活字のカットも英語だった英語圏での公開版だが、イタリア公開版の活字のカットは全てイタリア語。英語圏では"Tenebrae"と云うタイトル以下、全て英語だったクレジットも、イタリア公開版では、"Tenebre"と云うタイトル以下、全てがイタリア語。ナレーション以下、劇中の音声トラックについても、英語圏をターゲットにするアルジェント作品では通常通りで、ここでも英語がマスター音声。読唇しても容易に判る。ちなみに、イタリア公開版でのナレーションを務めていたのはアルジェント。殺人鬼の視点で捉える定番カットで登場する殺人鬼の「手」もいつものようにアルジェントだが、他のカメオとしては、ランベルト・バーヴァ(第一助監督)とミケーレ・ソアヴィ(第二助監督)も顔を出す。ちなみに、愚痴をこぼす修理業者役で登場するバーヴァはダイアローグ付でのお目見え。
イタリアの人気カンタトーレ、ピーノ・ダニエーレの"Nero a meta"ツアー等に同行していたマランゴーロを欠く形で復活したゴブリンだが、DMXなども物珍しかった当時、タイコのパートに物足りなさを覚えたような記憶もない。そこそこのアピール度だったピニャテッリのフレットレスやモランテのギターも、フラットな印象の打ち込みサウンドの中では映え渡っていたようにも思えたが、今更ながら残念に思えるのは、ハイポテンシャルなこの映像で4人の復活が実現しなかったと云う事。打ち込みサウンドが新たな文化にも成長しようとしていた時世を考慮すれば、イニシアティヴを握るシモネッティにとっても飛躍のチャンスだった訳だが、やはり、マランゴーロがジョイントするテーマ曲などは今更ながらに聴いてみたい所。その切れ味に磨きが掛かっていた事も明らかで、「セントヘレナズ・ピーク」で聴かせていたようなタイコとフレットレスのスリリングなインストナンバーも増えていたはずなので。余談だが、万引き常習者の女性が登場する序盤、デパートのシーンでは、ユーロカット「ゾンビ」の挿入曲「狂気の一団 "Torte in Faccia"」がフィーチャーされる。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
脚本と監督
Written & Directed by
ダリオ・アルジェント
Dario Argento
歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
わたしは目撃者 Il gatto a nove code
4匹の蝿 4 mosche di velluto grigio
サスペリアPART2 Profondo rosso
サスペリア Suspiria
インフェル Inferno
製作
Produced by
クラウディオ・アルジェント
Claudio Argento
サスペリア Suspiria
インフェル Inferno
製作総指揮
Executive Producers
サルヴァトーレ・アルジェント
Salvatore Argento
サスペリア Suspiria
インフェル Inferno
撮影
Cinematography by
ルチアーノ・トヴォリ
Luciano Tovoli
さすらいの二人 Professione: reporter
サスペリア Suspiria
編集
Edited by
フランコ・フラティチェリ
Franco Fraticelli
歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
インフェルノ Inferno
美術
Production Design by
ジュゼッペ・バッサン
Giuseppe Bassan
サスペリアPART2 Profondo Rosso
サスペリア Suspiria
衣装デザイン
Costume Design
ピエランジェロ・チコレッティ
Pierangelo Cicoletti
恋のエチュード Les deux anglaises et le continent
サスペリア Suspiria
カルロ・パラッツィ
Carlo Palazzi
Mr.レディMr.マダム La cage aux folles
Mr.レディMr.マダム2 La cage aux folles II
フランコ・トメイ
Franco Tomei
 
音楽
Music by
クラウディオ・シモネッティ
Claudio Simonetti
Perché si uccidono
サスペリアPART2 Profondo Rosso
サスペリア Suspiria
ローマ麻薬ルート大追跡(未) La via della droga
ゾンビ Dawn of the Dead
ファビオ・ピニャテッリ
Fabio Pignatelli
マッシモ・モランテ
Massimo Morante
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
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ジュリアーノ・ジェンマ
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ミラノの恋人 Delitto d'amore
ダリア・ニコロディ
Daria Nicolodi
Anne サスペリアPART2 Profondo Rosso
ザ・ショック Schock
インフェルノ Inferno
ミレッラ・バンティ
Mirella Banti
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(uncredited)
* カメオ出演
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