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Hart's War
ジャスティス (2002) USA 125min.
Introduction 序盤アウトライン
1944年、ドイツ軍の捕虜となった米国陸軍中尉トーマス・ハートは、独房での厳しい尋問を受けた後に、多数の連合国兵士が囚われる捕虜収容所に移送される。やがて、新たに2人の黒人士官が移送されて来るが、人種差別を露にする白人下士官ベッドフォードによって濡れ衣を被せられた1人の黒人仕官が、ドイツ軍に見せしめとして射殺されると云う事件が発生、その翌日の夜、今度は、報復行為とも思える形でベッドフォードが他殺体で発見される。その死体の脇に立ちすくんでいた黒人士官に第一容疑が掛けられるが、やがて、米国人捕虜を統率する陸軍大佐マクナマラの提唱により軍事法廷裁判の執行が決定、絶対的に不利な状況下にある被告側の弁護人としてハート中尉が指名を受けるのだがーー
Various Note メモ
(注意:以下完全ネタバレ)

マクナマラは、一ヶ月に渡る拷問にも耐え抜き口を割らなかった云う鉄の男だが、そのマクナマラの掲げる正義とは、戦争と云う大義名分にあっては犠牲も辞する事が出来ないと云うものである。これは、マクナマラがハートと真っ向から対峙した際の会話でも明らかにされている。そのマクナマラが人並みの人情も持ち合わせていると云う事は、被告の黒人士官スコットに聖書を手渡す場面でも明らかにされてはいるが、これだけではクライマックスでのヒーロー然とした最期を迎えるマクナマラを歓迎出来るとまでは行かない所で、終盤で描かれる破壊工作活動(脱走ではない)のカモフラージュとして、黒人士官のスコットが生贄にされようとしていた事も明らかだった訳である。
敵将校にその事態を完全に把握された為に、工作に加担し点呼に間に合わなかった30余名が一気に処刑されようとする事態を招くと云うクライマックスだが、上手く事が運んでいれば誰の手による破壊工作だったのかと云う事は藪の中のままだったもので、あの緊急点呼さえなければマクナマラを含む35人は元の鞘に納まり、収容所では役に立てず燻っていた彼らでも、使命を全うしたと云う達成感に包まれると云う結果で終わっていたはずである。弾薬工場が破壊されるのだからそれ相応の混乱も招くもので、トンネルの発見も時間の問題だったと推測されるが、誰が犯人だったのかと云う事も取り敢えずは判らない。サボタージュなどではなく敵軍による仕業と云う見方すらあり得る。サボタージュが発覚するプロセスを経た事で、最終的には状況を理解したスコットだが、サボタージュが大団円で終わっていれば、スコットは、私怨を抱いたまま処刑されてしまっていたと云う事になってしまう。
その破壊工作が敵将校の機転により成功を収める直前で発覚、点呼に間に合わなかった30余名が一気に処刑されようとする事態を招いた事で、然るべく登場せざるを得なかったマクナマラが、30余名の命と引き換えに自らが犠牲になると名乗りを上げる訳である。この事実が曲げる事の出来ないものである事に違いはないが、作品を客観視する聞き手にとっての問題は、スコットまでもが敬礼をしてしまっていると云う演出とマクナマラの散り際の台詞なのである。
スコットが敬礼をしていると云う事が不自然なのではなく、それを聞き手にも見せてしまっていると云う事が問題なのだ。ハートが把握した事態の真相を聞かされるスコットだが、それは30余名の捕虜達は脱走を目的としていると云う真実とは違う誤った内容が伝えられるもので、その実際の目的が破壊工作だという事実も知らぬままに、スコットは終盤を迎える訳である。それでもスコットは、一緒に脱走すれば良いと云うハートの勧めにも30余名の同志達に危険が及ぶと云う理由で固辞しているもので、祖国で待つ息子に示す事も出来る誇り高き死を迷う事無く選択していた訳だが、彼がその終盤で見たものは、脱走と云う行為ではない30余名の身を呈しての破壊活動と云う真相と、その面々を救うべく散り去ったマクナマラの勇姿である。つまり、誇り高きスコットであれば当然の敬礼だったとも云える訳だが、これは、傍観者として作品を鑑賞している聞き手には非常に伝わり難いものである。アクシデントがなければ私怨を抱いたまま生贄になっていた微妙な立場のスコットとは同化出来るはずもない聞き手には、不可解なものにしか映らないはずである。
その肝心要の散り際でのマクナマラにも漠然とした台詞を与えるのではなく、戦争では誰もが犠牲になりうるもので、自分が犠牲になると云う事は、単なる事の成り行きに過ぎないと云ったニュアンスの赤裸々で潔い台詞を聞きたかったのである。あらゆる含みを持つ「お互いが負け」と云う台詞も悪くはないが、スコットの無実を駄目押し的に示唆した上で、単刀直入、明瞭この上ない形で「戦争では誰が貧乏くじを引いてもおかしくないものさ」と云ったような臭みのある台詞の方が、人情だけでは行動しないマクナマラには相応しく、聞き手にも厭らしさを感じさせないものだったと思えるのである。
「拷問に屈してしまったと云う負い目のある若い士官が、拷問には屈する事がなかったと云う伝説の将校を向こうに回して人種差別の壁に立ち向かう」と云ったモチーフが中心に据えられているような印象のシナリオでは、終盤を迎える辺りからの風雲急を告げる展開にもやや当惑してしまうと云った印象で、同時にその真意すら伝わり難い作りになっていたようにも思える。
「戦争に犠牲はつきもの」と云う微妙なモチーフをアピールされては、短絡的にヒーローを歓迎する訳には行かないもので、これだけのモチーフを交錯させるのであれば、娯楽路線に徹する以外に選択肢はなかったようにも思えるのである。極限下で曝け出す人間性の脆さ、人種差別、軍事法廷裁判、双方で抱える戦争への矛盾、脱走劇と見せかけたサボタージュ等々、これらのモチーフが熟考され練りに練られた上で展開していると云う事は充分に伝わるのだが、複雑かつ悲劇的であったはずの顛末が、短絡的に提示されたクライマックスと一気に衝突、明確な印象を残せずに終わってしまっているのである。打算的であった事も認めさせるマクナマラの赤裸々なセリフも交えたシビアなクライマックスであれば、作品全体の印象も大分違っていたはず。ド迫力で描き出す空襲のシークエンスを始めとする優れた視覚効果や熟考されたシナリオはポテンシャルの高さも充分だっただけに、あと少し、ほんの僅かと云った印象を残すクライマックスが実に悔やまれる所。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
グレゴリー・ホブリット
Gregory Hoblit
真実の行方 Primal Fear
悪魔を憐れむ歌 Fallen
オーロラの彼方へ Frequency
製作
Produced by
デヴィッド・フォスター
David Foster
マスク・オブ・ゾロ The Mask of Zorro
コラテラル・ダメージ Collateral Damage
グレゴリー・ホブリット
Gregory Hoblit
* 監督も兼任
デイヴィッド・ラッド
David Ladd
ワイルド・ギース The Wild Geese (actor)
ゾンビ伝説 The Serpent and the Rainbow
アーノルド・リフキン
Arnold Rifkin
バンディッツ Bandits
クロコダイル・ハンター ザ・ムービー
 The Crocodile Hunter: Collision Course
製作総指揮
Executive Producers
ウォルフガング・グラッテス
Wolfgang Glattes
心の扉 House of Cards
ナインスゲート The Ninth Gate
原作
Based on the novel by
ジョン・カッツェンバック
John Katzenbach
殺しの季節 The Mean Season
理由 Just Cause
脚色
Screenplay by
ビリー・レイ
Billy Ray
薔薇の素顔 Color of Night
ボルケーノ Volcano
テリー・ジョージ
Terry George
父の祈りを In the Name of the Father
ボクサー The Boxer
撮影
Cinematography by
アラー・キヴィロ
Alar Kivilo
シンプル・プラン A Simple Plan
オーロラの彼方へ Frequency
編集
Edited by
デイヴィッド・ローゼンブルーム
David Rosenbloom
インサイダー The Insider
ペイ・フォワード 可能の王国 Pay It Forward
美術
Production Design by
リリー・キルヴァート
Lilly Kilvert
ザ・シークレット・サービス In the Line of Fire
シティ・オブ・エンジェル City of Angels
衣装デザイン
Costume Design
エリザベッタ・ベラルド
Elisabetta Beraldo
オーロラの彼方へ Frequency
シモーヌ S1m0ne
音楽
Music by
レイチェル・ポートマン
Rachel Portman
帽子を脱いだナポレオン
 The Emperor's New Clothes
シャレード The Truth About Charlie
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
コリン・ファレル
Colin Farrell
Lt.
Thomas W. Hart
タイガーランド Tigerland
アメリカン・アウトロー American Outlaws
フォーン・ブース Phone Booth
テレンス・ハワード
Terrence Howard
Lt.
Lincoln A. Scott
ビッグ・ママス・ハウス Big Momma's House
グリッター きらめきの向こうに Glitter
コール・ハウザー
Cole Hauser
Staff Sgt.
Vic W. Bedford
ピッチブラック Pitch Black
タイガーランド Tigerland
マーセル・ユーレス
Marcel Iures
Col.
Werner Visser
ミッション:インポッシブル Mission: Impossible
ピースメーカー The Peacemaker
ライナス・ローチ
Linus Roache
Capt.
Peter A. Ross
鳩の翼 The Wings of the Dove
サイアム・サンセット Siam Sunset
ヴィセラス・レオン・シャノン
Vicellous Reon Shannon
Lt.
Lamar T. Archer
D2 マイティ・ダック D2: The Mighty Ducks
ザ・ハリケーン The Hurricane
モーリー・スターリング
Maury Sterling
Pfc.
Dennis A. Gerber
エネミー・ライン Behind Enemy Lines
クローン Impostor
サム・イェーガー
Sam Jaeger
Capt.
R.G. Sisk
エネミー・ライン Behind Enemy Lines
スコット・マイケル・キャンベル
Scott Michael Campbell
Cpl.
Joe S. Cromin
フラバー Flubber
ブルワース Bulworth
ロリー・コクレイン
Rory Cochrane
Sgt.
Carl S. Webb
エンパイア レコード Empire Records
サウスランダー Southlander
CSI:マイアミ CSI: Miami (tv)
ジョー・スパーノ
Joe Spano
Col.
J.M. Lange
アポロ13 Apollo 13
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