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Guilty by Suspicion
真実の瞬間 (1991) France / USA 105min.
Introduction 序盤アウトライン
1951年9月、映画監督のデイヴィッド・メリルが、フランスでの仕事を終えて帰国する。その帰国パーティでの席上、ある友人夫婦の喧騒を目の当たりにしたデイヴィッドは、赤狩りの活動が映画業界にまで浸透していると云う現実に強烈な違和感を覚えていた。その翌日、ハリウッドのフィクサーとも云える大物プロデューサー、ダリル・ザナックから呼び出しを受けたデイヴィッドは、自身の名前を赤狩りのリストから消去する代償としての密告を迫られるが、不快感も露に頑なに拒否、その場を後にしてしまう。やがて、スタジオへの出入りも禁じられ、小さな仕事すら貰えぬ不遇の時代を迎えたデイヴィッドは、その全てを失ってしまうが、疑心暗鬼に喘ぐ恐怖の時代を背景にするデイヴィッドへの迫害は、その名声の剥奪だけに止まるものではなかったーー
Various Note メモ
「いちご白書」「ロッキー」「ライトスタッフ」等の作品で映画製作者としては20余年のキャリアを歩んでいたアーウィン・ウィンクラーが、50年代のハリウッドでも吹き荒れたマッカーシーイズムの実話を基に脚本を執筆、初監督作品として映像化した作品だが、本作のタイトルを見かける度に、個人的には、99年度アカデミー授賞式でのエリア・カザンへの功労賞授与を思い出す。カザンと云えば、47年の「紳士協定」や54年の「波止場」ではアカデミー最優秀監督賞を受賞、ジェームス・ディーンやマーロン・ブランドなど数多くの俳優をスターダムに押し上げた人物だが、先述の監督賞を含めれば生涯22個にも及ぶオスカー獲得と云う功績を考慮すれば、その功労賞にも相応しいとは云えるものの、一方では、それを許せぬ人々もいた訳である。授賞式会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオンの外では、その反対派が「密告者カザン」と書かれたプラカードを表掲、俳優のリチャード・ドレイファスに至っては、そのカザンの授賞式の最中には街を出ているとまで宣言していた事も記事にされていた。
1930年代の一時期に於いて共産党員だった事が明らかにされたカザンは、52年4月に聴聞会に召喚されながらも、自らを共産主義者とは宣言出来るはずもなく、黙秘権も行使出来ぬ非米活動委員会の聴聞会では、かつての30年代に共産党に属しシアターズ・ギルドでも親交があった8人の名前を密告する道を選んでいる。後に大成功を収めるカザンから指名を受けた人物達が、後の聴聞会でどのような扱いを受けたのかと云う所については定かではないが、赤狩り被害に曝された人々が芋づる式に増え続けたと云う事実に照らし合せれば、その想像にも難くないと云った所。
99年のアカデミーで興味深かったのは、本作主演のデニーロと同じく本作に顔を出すスコセッシがプレゼンターだったと云う事。しかも、スクリーンに流しだされたカザンの軌跡を辿るショートフィルムは、スコセッシが監修したものだった訳である。
90年代のJSBでも放送されたジェームス・ウッズ主演の「赤狩り マッカーシーの右腕と呼ばれた男」と云う作品だが、そのTVドラマと云うキャパシティーではありながらも、その物語は、マッカーシーイズムと云うものがどれだけ稚拙で馬鹿げていたのかと云う事を明確に提示していたような気がする。その事の始まりはと云えば、東西冷戦と云う世相背景を利用した一人の出世欲に絡んだ単なるエゴイズムに端を発したもので、ポイントを貯める感覚で被害者となる人々の数を集めるゲームのような感覚だった訳である。それはスターリンによる粛清の時代と何ら変わりのないもので、悪賢く狡猾な者にとっては、気に入らぬ人物の名前を口にしただけで復讐完了、究極の疑心暗鬼を生み出す恐怖の時代だったと云う事である。
この作品で描かれているような被害者でも、実際に辿った選択肢はさまざまである。50年代のチャップリンの渡欧が事実上の追放とだったと云う事は周知の所だが、チャップリンの場合は、72年にアカデミーから懺悔的な形で提示される功労賞を受け入れると共にハリウッドへの復帰を果していたもので、93年に「ローマの休日」は自らの執筆だったと公表したダルトン・トランボの場合は、47年の聴聞会での証言拒否により禁固刑に服してはいるものの、その出所後に偽名を使って書き上げた56年「黒い牡牛」ではオスカーを獲得、60年のニューマン主演「栄光への脱出」以降は実名で作品を発表し、ことごとく成功を収めている。エイブラハム・ポロンスキーは、追放と云う形で全盛時のキャリアを失ってしまうが、67年のヒット作品「刑事マディガン」では脚本を担当、そして、監督・脚本を務めた「夕陽に向って走れ」等での復帰を果たしている。また、53年「拳銃を売る男」が完成した後に英国に亡命したジョセフ・ロージーのように、66年「唇からナイフ」67年「できごと」71年「恋」76年「パリの灯は遠く」等の作品ではカンヌ国際のパルム・ドールにノミネート(71年の「恋」では受賞)されるなど、ハリウッドとは絶縁したままながらも、その活躍の場を欧州に移してキャリアを積み上げていた人物もいた訳である。
本作にはベン・ピアッツァが演じる形で、かつてのハリウッドの超大物プロデューサー、ダリル・ザナックが実名で登場しているが、たとえ真実であったとは云え、本作の公開を迎えたザナックの遺族の胸中を察すれば、実に辛いと云った所。余談だが、スコアを担当するジェームズ・ニュートン・ハワードは、ロックバンドTOTOやボズ・スキャッグスのサポート鍵盤奏者としてツアーの経験もある人物。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
脚本と監督
Written & Directed by
アーウィン・ウィンクラー
Irwin Winkler
いちご白書 The Strawberry Statement (producer)
ロッキー Rocky (producer)
ライトスタッフ The Right Stuff (producer)
ザ・インターネット The Net
海辺の家 Life as a House
五線譜のラブレター DE-LOVELY De-Lovely
製作
Produced by
アーノン・ミルチャン
Arnon Milchan
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
 Once Upon a Time in America
未来世紀ブラジル Brazil
製作総指揮
Executive Producers
スティーヴン・ローザー
Steven Reuther
真夜中にコール・ミー Call Me
ハートに火をつけて Catchfire
撮影
Cinematography by
ミハエル・バルハウス
Michael Ballhaus
ワーキング・ガール Working Girl
グッドフェローズ Goodfellas
編集
Edited by
プリシラ・ネッド
Priscilla Nedd
タッカー Tucker: The Man and His Dream
プリティ・ウーマン Pretty Woman
美術
Production Design by
レスリー・ディリー
Leslie Dilley
スター・ウォーズ Star Wars
エイリアン Alien
アビス The Abyss
衣装デザイン
Costume Design
リチャード・ブルーノ
Richard Bruno
キング・オブ・コメディ The King of Comedy
グッドフェローズ Goodfellas
音楽
Music by
ジェームズ・ニュートン・ハワード
James Newton Howard
プリティ・ウーマン Pretty Woman
マイ・ガール My Girl
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
ロバート・デ・ニーロ
Robert De Niro
David Merrill アイリスへの手紙 Stanley & Iris
グッドフェローズ Goodfellas
アネット・ベニング
Annette Bening
Ruth Merrill バグジー Bugsy
心の旅 Regarding Henry
ジョージ・ウェント
George Wendt
Bunny Baxter フレッチ 殺人方程式 Fletch
ガバリン House
パトリシア・ウェティグ
Patricia Wettig
Dorothy Nolan シティ・スリッカーズ City Slickers
シティ・スリッカーズ2 黄金伝説を追え
 City Slickers II: The Legend of Curly's Gold
サム・ワナメイカー
Sam Wanamaker
Felix Graff コンペティション The Competition
赤ちゃんはトップレディがお好き Baby Boom
ルーク・エドワーズ
Luke Edwards
Paulie Merrill スウィート・ロード The Wizard
マザーズボーイ 危険な再会 Mother's Boys
クリス・クーパー
Chris Cooper
Larry Nolan ボーイズ・ライフ This Boy's Life
アメリカン・ビューティー American Beauty
シービスケット Seabiscuit
ベン・ピアッツァ
Ben Piazza
Darryl Zanuck 縛り首の木 The Hanging Tree
がんばれ!ベアーズ The Bad News Bears
マスク Mask
マーティン・スコセッシ
Martin Scorsese
Joe Lesser レイジング・ブル Raging Bull
グッドフェローズ Goodfellas
バリー・プリマス
Barry Primus
Bert Alan レッド・バロン The Red Baron
スクープ・悪意の不在 Absence of Malice
ゲイラード・サーテイン
Gailard Sartain
Chairman Wood アウトサイダー The Outsiders
ミシシッピー・バーニング Mississippi Burning
ロビン・ガンメル
Robin Gammell
Congressman
Tavenner
リップスティック Lipstick
オースティン・パワーズ
 Austin Powers: International Man of Mystery
ブラッド・サリヴァン
Brad Sullivan
Congressman
Velde
アンタッチャブル The Untouchables
アビス The Abyss
トム・サイズモア
Tom Sizemore
Ray Karlin 7月4日に生まれて Born on the Fourth of July
ハートブルー Point Break
ロクサン・ドーソン
Roxann Dawson
Felicia Barron コーラスライン A Chorus Line
ブラッド・イン ブラッド・アウト Bound by Honor
スチュアート・マーゴリン
Stuart Margolin
Abe Barron 狼よさらば Death Wish
天国の日々 Days of Heaven
アダム・ボールドウィン
Adam Baldwin
FBI Agent キルトに綴る愛 How to Make an American Quilt
インデペンデンス・デイ Independence Day
マーゴ・ウィンクラー
Margo Winkler
Leta Rosen * ウィンクラー夫人
ニューヨーク・ニューヨーク New York, New York
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