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Profondo Rosso
サスペリア PART2 (1975) Italy 126min.
Introduction 序盤アウトライン
ローマ、欧州超心霊学会の講演会場。驚異的なテレパシーを持つ講演者のヘルガが、会場内に潜む殺人者が再び殺戮を繰り返す事を予見する中、怪しげなレザースーツの人影が人知れず会場を後にする。その夜、滞在先で休息するヘルガを殺人者が急襲、その断末魔の光景を屋外から偶然目撃した英国人ピアニストのマークが現場に急行するが、既に犯人の姿も消え去る中、現場には惨殺されたヘルガの遺体が残されていた。現場に駆け付ける最中、重要な手掛かりを目撃したかのような違和感に苛まれていたマークは、事件に関心を抱く女性記者のジャンナと共に謎の究明に乗り出すが、やがて殺人鬼の邪悪な殺意はさまざまな関係者にも向けられようとしていたーー
Various Note メモ
ローマに滞在する英国人ピアニストとその行く先々に立ちふさがる邪悪な殺人鬼の対決を描くミステリーサスペンス。コアなファンからフツーのファンまでを魅了する最も著名なジャーロにして然るべき内容も伴う傑出した一遍。オリジナル脚本は、「世にも怪奇な物語」「サテリコン」「フェリーニのローマ」のベルナルディーノ・ザッポーニと演出も兼任する「歓びの毒牙」「わたしは目撃者」「4匹の蝿」のダリオ・アルジェント。
周知の通り、日本公開の際には「サスペリアPART2」と銘打たれたこの作品、後年の76年(日本公開は77年)に公開された「サスペリア」とは無関係で、その製作年度も「サスペリア」の前年に当たる75年。 意味深な笑みを浮かべてバレエ学校を後にするヒロインのスージーを思い浮かべながら鑑賞に臨む中、終わってみれば「悪魔」とは無関係のシナリオだった事に絶句させられた公開当時だが、劇場だけが映画を楽しめる唯一の空間だったそんな当時の記憶も今では懐かしい限り。ちなみに、スペインのシトヘス国際でグランプリを受賞した事を宣伝コピーにしていた邦版の宣材だが、実は76年10月と云うシトヘスでの公開も「サスペリア」の大ヒットを受けた後での事だった。
云うまでもなく「ゴブリン」の出世作となった作品だが、アカデミックでセンスも抜群のガスリーニのスコアに何かが足りないと妥協を許さなかったアルジェントの感性が何より凄い。本編の面白さにも疑念の余地はないが、テーマ曲"Profondo Rosso"のインパクト無くして全世界規模での大ヒットも有り得なかったはずなので。95年にリリースされたチネヴォックスの完全版サントラは、かつては陽の目を見なかった多くの未公開トラックが網羅されていたが、ニコロディ演じる女性記者ジャンナがおどける未公開カットで挿入されるブルース(モランテ+ピニャテッリのデュオによるドミナントモーション部分の短篇スコア)は、127分の全長版映像ならではの目玉曲。他の挿入トラックなどについては、サントラのページをご参照下さい。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
一言で云えば、主人公と犯人の鬼ごっこのようなミステリーだが、一連のジャーロ作品などとの大きな違いは、シナリオの矢継ぎ早での捻りにもリンクするショッキング描写の規格外でのインパクト。テレパシー、わらべ歌、幽霊屋敷の伝説本、トラウマの情景デッサンなど、真相究明の足掛かりとなるモチーフも実に多種多様、更には極限までに高ぶる意識の下に焼き付けられた記憶的ヴィジョンの妙をオチにするシナリオは、ネタのバラエティー度も天下一品。ただ、稀代の連続殺人事件にまでエスカレートする顛末だった事を考慮すれば、そもそもの動機付けのモチーフや、一連の展開にも微妙な違和感が。
一連の殺人に手を染める犯人の動機は、20余年も前に遡る殺人行為が暴かれる事への懸念。日本の刑法では当に時効を迎えているケースで、しかも殺害した相手が配偶者となれば民事的な賠償にも縁がないようなケース。まぁ、イタリアでは事情も違うのだろうが、何れにせよ、満を持しての隠ぺい工作を経て闇に葬られた事件が一人の超能力者によって突如掘り返される訳だが、そんな冒頭での経緯も実はローマの会場に犯人も足を運んでいた事による偶然の産物。その最中、いくら後姿だったとは言え男子トイレに犯人が佇むと云うのも、後に思い返せば違和感を覚える所だったりもするが、一方、主人公が真相究明の足掛かりにするそもそものネタも、あの犯人自らが襲撃の際に持参していた「わらべ歌」。その「わらべ歌」から「幽霊屋敷の伝説本」、そして「トラウマの情景デッサン」と芋づる式に暴かれる真相だが、そんな一連の経緯も必然的と云うより何気にドラマティックなコントラストで描かれている。
ただ、この作品がフツーのジャーロなどとはインパクトが違っていたと云うのも、そんな矢継ぎ早で見せるドラマティックなひねりの数々とお約束のショッキングシーンが見事にリンクしていたため。大方の場合、このバランスは脆くも崩れ去っているもので、一歩誤れば、「凡庸なミステリー」もしくは「ヴィジュアル偏重のショッカー」などとカテゴライズされてしまったりもする所。序盤から曖昧な記憶に苛まれる主人公はもとより、「わらべ歌」「幽霊屋敷の伝説本」「トラウマの情景デッサン」など犯人の足掛かりとなるモチーフでも釈然とさせられなかったりもするスクリプトだが、そんなストレスを打ち消していたのが他でもない一連のショッキング描写だった。鉈で惨殺されるヘルガ、熱湯入りのバスタブで惨殺される本の著者、机の角で歯をへし折られて首を一突にされるヘルガの知人、車で引きずられた挙句に頭を潰されるカルロなど、ピンポイントでの破壊力が何れも超弩級レベル。60-70年代当時のサスペンス路線では他に類を見ないポテンシャルだった事は云うまでもない所。
一方、何気に興味深かったと云えば、主人公を苛ませていた記憶も、実は犯人の顔と絵画のコラボ鏡像だったと云うオチ。云うまでもなくこれは、大方のファンを唸らせた重要なモチーフだが、真相に辿り着くまでの過程に於いては、実はこの上等な捻りも何ら意味がなかったようにも思える所。その理由も明快。結末のサプライズに向けられた重要な伏線だったとするのなら、犯人(カルロの母親)の人相を意識の下に残しながらも、犯人との2度にもわたる面談でも実を結んでいなかったのは何故?と云う事にもなるため。ただ、これも要は、事件当時の残像のピントを搾り出す事が出来たのも犯人との面談の賜物だった訳だが、ここはもう一度事件当時の情景を再現するような展開であれば文句なしのクライマックスにも変貌していたはず。部屋へ足早に戻るマークがもう一度同じ情景を目の当たりにする中、2度の面談を経ていた今度は、鏡の前で佇む犯人の姿にもストライクのタイミングで気付くような流れであれば、伏線が帰結したようにも思えたのかも。現実のスクリプトでは、鏡の前でようやく真実に気付いたマークが、背後に忍び寄る犯人の姿にビックリする姿が映し出されているが、ここは、事件当時と同じように廊下を通り過ぎる中、あの鏡像を再び目の当たりにしたマークが数歩後退して鏡の前に潜む犯人を発見、「あなたが犯人だったのか」と云う展開にして欲しかった所。ついては、レザージャケットの犯人も恐持ての面持ちなどではなく、掴みのタイミングではカルロの母親の面持ちであれば、「実は事件当時にあなたの姿を鏡像を通して見かけていた」と云ったマークの台詞などで一連の伏線も完全に帰結出来る。要は、マークと犯人の3度目の対面が端から殺人鬼モードで描かれてしまえば、前段までのマークの葛藤も伏線としては何の意味もなかったと云う話。一人で悩んでいた中、やがては一人で真相に気付く最中に殺人鬼が急襲!と云った展開では、目撃した事実など端から介在しなくても、何れにせよ襲われたと云う事にもなってしまうので。
127分の全長版では、ヘミングス演じる主人公が編曲を担当するバンドのプレイシーン(映像と音が合ってないけど)やニコロディとヘミングスのコミカルなやり取りなど数多くの未公開シーンの鑑賞も可能。未公開フィルムのオリジナル英語音声は紛失していたために、イタリア語音声での吹きかえとなった未公開部分だが、何れにせよ、かつてのお馴染みのシークエンスなどでもさまざまな初モノカットが楽しめる。ちなみに、サントラの最後に収録されていた「ジャンナ」を楽しめるのも全長版だけ。
本作の完全版リリースに盛り上がる最中、「スリープレス」のスコア録音の為にゴブリンのメンバーが再結成していた事も周知の所。再結成後のメンバーの様子はマークの幻想の旅」のリマスター盤に収録されたオマケのMPEG1映像でも見る事が可能だが、こちらの全長版DVDの特典映像では、一同の元気な姿のみならず、テーマ曲の触りを奏でるシモネッティの映像を高画質で見る事が出来ると云うオマケまでが付いている。瞬く間のサイズだけど(笑)



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ダリオ・アルジェント
Dario Argento
歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
4匹の蝿 4 mosche di velluto grigio
わたしは目撃者 Il gatto a nove code
ビッグ・ファイブ・デイ(未) Le cinque giornate
製作
Produced by
クラウディオ・アルジェント
Claudio Argento
ビッグ・ファイブ・デイ(未) Le cinque giornate
サスペリア Suspiria
製作総指揮
Executive Producer
サルヴァトーレ・アルジェント
Salvatore Argento
歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
4匹の蝿 4 mosche di velluto grigio
脚本
Written by
ベルナルディーノ・ザッポーニ
Bernardino Zapponi
サテリコン Satyricon
フェリーニのローマ Roma
ダリオ・アルジェント
Dario Argento
* 監督も兼任
撮影
Cinematography by
ルイジ・クヴェイレル
Luigi Kuveiller
ボッカチオ Boccaccio
ミラノの恋人 Delitto d'amore
編集
Edited by
フランコ・フラティチェッリ
Franco Fraticelli
歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
わたしは目撃者 Il gatto a nove code
サスペリア Suspiria
美術
Production Design by
ジュゼッペ・バッサン
Giuseppe Bassan
ビッグ・ファイブ・デイ(未) Le cinque giornate
サスペリア Suspiria
衣装デザイン
Costume Design by
エレナ・マンニーニ
Elena Mannini
ビッグ・ファイブ・デイ(未) Le cinque giornate
女教師ベニーナの性(未) Io sono mia
音楽
Music by
ゴブリン
Goblin
* 「白鳥の殺意」のチェリー・ファイヴが
      一部のメンバー交代を経て再編成
ローマ麻薬ルート大追跡(未) La via della droga
サスペリア Suspiria
ゾンビ Dawn of The Dead
ジョルジョ・ガスリーニ
Giorgio Gaslini
夜 La Notte
姉妹 Le Sorelle
サイコ・ファイル「変死体」 La Bambola (tv)
サイコ・ファイル「目撃証人」 Testimone oculare (tv)
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
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シャドー Tenebre
フェノミナ Phenomena
ガブリエレ・ラヴィア
Gabriele Lavia
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インフェルノ Inferno
スリープレス Non ho sonno
マーシャ・メリル
Macha Meril
Helga Ulmann 昼顔 Belle de jour
シナのルーレット Chinesisches Roulette
エロス・パーニ
Eros Pagni
Supt. Calcabrini 4次元の情事 Amore in quattro dimensioni
流されて Travolti da un insolito destino
nell'azzurro mare d'agosto
ジュリアーナ・カランドラ
Giuliana Calandra
Amanda Righetti ア・クロイスタード・ナン(未)
 Storia di una monaca di clausura
ベルト La Cintura
ピエロ・マッツィンギ
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Martha
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Fulvio Mingozzi
Taxi Driver 歓びの毒牙 L'Uccello dalle piume di cristallo
4匹の蝿 4 mosche di velluto grigio
サスペリア PART2 Profondo Rosso
インフェルノ Inferno
シャドー Tenebre
フェノミナ Phenomena
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