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La terza madre
サスペリア・テルザ 最後の魔女 (2007) ITA / USA 102 min.
Introduction 序盤アウトライン
伊ローマから70キロの町ヴィテルボ。ある日、墓地の工事現場から19世紀初頭の棺が発見される。やがてローマの古代美術博物館に搬送された棺は、副館長のジゼルと考古学研究員のサラによって封印が解かれるが、それは千年前にも遡る「涙の母」と呼ばれる凶悪な魔女が再び世に放たれた瞬間だった。ジゼルの惨殺現場を目撃したサラは、魔女の呪いで凶悪事件が多発する市街地を逃げ惑う中、一人の女性霊媒師によって自身の秘められた過去が明るみにされるが、それは幼くして死別した両親と魔女たちの因縁にも言及するものだったーー
Various Note メモ
サスペリア (1977)」「インフェルノ (1980)」に続く"Three Mothers"トリロジーの完結編。監督は言わずと知れた大御所ダリオ・アルジェント(Dario Argento)。というか、一時は潰えたとも思われたファイナルの登場には正直ビックリ。と云うより、個人的にはあまりにもったいなくて劇場にも通えず、購入したメディアも暫し鑑賞できなかったが、ちなみに気になるタイトルは一日3~4本の消化も平気ながらも、やはりこれは別格。未成年での鑑賞だった「インフェルノ」で"Three Mothers"の存在が明らかにされる中、それから紆余曲折を経ての約27年もの歳月が経過してしまえば、フランクに鑑賞しろと云うのも無理な話だった。まさに何でもアリの心境で臨めた1本だったが、とは言え、浮世離れのシチュエーションで四面楚歌の主人公と魔女の闘いを描いていた「サスペリア」や「インフェルノ」を引き合いに出せば、大都市ローマを舞台に一般市民をも無差別に巻き込む内容はその印象もやや別モノ。Y2K以降、数多くのホラー作品でコンビを組むアダム・ギーラッシュ(Adam Gierasch)とジェイス・アンダーソン(Jace Anderson)とアルジェントのコラボとなった脚本は、往年のスリーマザーファンにとってはやや違和感も覚える所だが、マーケティングや流通も多大な変化を遂げる昨今、良質な血統を残すためには次世代との融合も必要不可欠。往年のエッセンスを体感できると云うより、スポットで感じることさえ出来れば御の字だったと言える。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
次世代とのコラボでいわゆる純血ではなかったシナリオだが、ローマを舞台に大風呂敷を広げる辺りや、アルジェントの元妻でアーシアの実母ニコロディ(Daria Nicolodi)がゴーストで登場する辺りなどは、明らかにアルジェントのそれとは別モノ。そもそもの話、オカルティズムをモチーフにする長編キャリアも「サスペリア」と「インフェルノ」に限定されるアルジェントだが、オハコのジャーロなど全てのシナリオでも余計なキャラクターを排除するスレンダーさがその真骨頂。ちなみにアルジェントと云えば、撮影時のテイク数の少なさでもスタッフには信頼と好感を得ている人物で、その辺りを考慮すれば、ケイオス状態のローマを描く一連のカットがやや小ぢんまりとする辺りもシャレになるが、ただ、母親が乳飲み子を川に放り投げる序盤のカットなどは、アルジェントならではの寸鉄でのアピール。というか、「フェノミナ (1986)」では十代の少女たちを平気で切り刻んでいたアルジェントだが、やはり屈折する狂気にはかつてのような疎外的なシチュエーションが良く似合う。
ゴアな描写については、「愛しのジェニファー (2005)」や「愛と欲望の毛皮 (2006)」でも昨今お馴染みだが、思えば、ゴシックのエッセンスにヴィヴィッドかつ鋭利な感性を見事に融合させる「サスペリア」でのゴア描写などには懐かしさも募る。というか、内臓モロ出しのスプラッター描写も物珍しくはなくなった昨今、アルジェントにしてみれば、ここでの数多くのゴア描写にも満を持しての感覚ではなかったのかもしれないが、ただやはり、女性霊媒師の同性愛の相手を殺害する際、目潰し専用のアイテムを強調する描写や、女性霊媒師を陰部から串刺しにする辺りなどではノーマルも超越。ちなみに「サスペリア」に続く登場ながらも、ここでは精神科医ではなく別キャラで顔を出すウド・キア(Udo Kier)だが、鉈で切り刻まれる断末魔の描写などは、まさに「処女の生血 (1974)」でのそれ。
ゴアと云えば、アーシア(Asia Argento)演じるヒロインを追う東洋系の魔女カテリーナ(市川 純)が列車トイレのドアに頭を挟まれるカットなどでは「わたしは目撃者 (1971)」を即座に連想させられる。ちなみに、アルジェント父娘の会話を収めたDVD特典映像によれば、扉に挟まれた人形の頭から目が飛び出したのもアクシデント的に成功した演出だったらしいが、何れにせよ、ローマ訛りの伊語と日本語を流暢に話せる邦人女優・市川純は予想外の存在感。というか、「チョット待って!」「シモーネ行け!」「冥土へ行きな!」など啖呵を切るような日本語ダイアローグでは「キル・ビル」を連想。少なくとも、欧米も席巻する宮崎アニメ「魔女の宅急便」はアルジェントの脳裏には無かったはず。
魔女と云えば、魔女や悪魔の従属が最も多く登場するのもこのファイナル。歌舞伎のような厚化粧の魔女たちが空港を闊歩する中、世界中の魔女がローマに集結するというくだりにも荒唐無稽な印象は否めないシナリオだが、これも昨今のホラーとは一味異なる勢いがあったのも確か。というか、「サスペリア」の製作に乗り出す際、アルジェントとニコロディはモノホンの魔女と出会ったエピソードを明かしているが、その真偽はさて置き、やはり自信に満ちた体験談の説得力はスゴイ。アルジェントの魔女遭遇の体験については「サスペリア」のページに記した通りだが、ちなみに「サスペリア」のヒロイン、スージー・バニヨンの名前を筆頭に「インフェルノ」でもおなじみの錬金術師の書いた本などここではシリーズのモチーフも満載。
ちなみにここでは、スージーによって退治された「溜息の母」も、実はここでの主人公サラの母親との黒魔女vs白魔女の闘いで弱っていた後の事だったと云う事実が明かされるが、そんなダイアローグのみでの関連付けながらも、これはシリーズ第1弾「サスペリア」のリリースから約30年ものギャップを埋め合わせるには充分すぎるくだりだった。というか、高いびきを掻きながらの寝たきり状態にも近かった「溜息の母」を思い起こせば、妙に納得させられる。一方、悪の温床たる魔女たちの邸宅を設計した錬金術師には何の咎めも無いように思えた「インフェルノ」だが、キャラは違えど、現世の錬金術師が磔の拷問に晒されるクライマックスなど、これは帰結としては見事ではないだろうか。ヒロインに見捨てられながらも、自力で脱出した刑事が直後に見せるツーショットでの笑顔も妙に爽やかでイイ。というか、見捨てられた刑事と見捨てたヒロインが「フェノミナ」のオマージュとも言える死体だらけの下水道で一体感を増す演出などは、アルジェント作品ならではの大サービスだった訳だが、ついては、Jコネリーと同様に死体プールの試練を乗り越えたアーシアも後のオスカー確実と云う事なのかも。ちなみに「フェノミナ」と云えば、従来は生き物三昧のアルジェント作品にして、ここでは子ザルのみの登場だが、サル系の動物キャラと云えば、これも「フェノミナ」でお馴染み。
アーシアと云えば、カメレオン技も備える白魔女を好演しながら、寸鉄ながらもダイナマイトボディも披露しているが、これは気心の知れるファミリービジネスであった事を差し引いても、ここでの存在感は唯一無二のそれ。というか、アルジェントの姿を脳裏に焼き付けるファンにしてみれば、DNAもそのままのアーシアのアクションにアルジェントの面影をダイレクトに感じることが出来るはずなので。まぁ、演出家の容姿など作品の鑑賞には全く関係ない訳だが、個人的にはアルジェントの場合はやや別の話。デカイ目の隈のアルジェントの容姿が鑑賞中にも脳裏から離れないが、ここではアルジェントの鬼気迫るモチベーションがアーシアに映し出されているようでかなりの満足度。「歓びの毒牙」以来のファンであれば、同じような感覚だったと思うのだが。ちなみに父娘と云えば、まぁ、内容には関係ないが、ノークレジットで製作に携わるMarina Berlusconiは、あのベルルスコーニ首相の娘である。



製作データはこちら http://www.goblinweb.com/laterzamadrefilm.html
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