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The King
キング 罪の王 (2005) USA / UK 104min.
Introduction 序盤アウトライン
テキサス南部の片田舎の町に海軍を退役した青年エルヴィスがやって来る。その目的はまだ見ぬ父親と会う事だったが、人々の敬意を集める牧師として平和な家庭を築いていた父親は、若気の至りで生を授けたエルヴィスを冷たくあしらうばかりだった。自身の存在をタブー視されたエルヴィスは、やがて、異母兄妹である事実を告げずに16歳の長女マレリーに接近する中、あろう事か肉体関係に落ちてしまうが、そんな中、深夜の逢引を目撃したマレリーの兄ポールが、エルヴィスを諌めようと人知れず彼のアパートを訪れるのだがーー
Various Note メモ
私生児として生を受けた彷徨える主人公の咆哮を描く衝撃の一遍。オリジナル脚本は「チョコレート」「記憶の棘」のミロ・アディカと演出も手掛けるジェームズ・マーシュ。ネタバレになる内容はさて置き、行き着く所のテーマは、子を儲ける事の責任について言及するものだが、なかんずくシビアな内容は他に類を見ない。マックス・エイヴリー・リクテンスタインのスコアも出色。その心は以下の通り。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
アウトラインは、生後初めての父親との面談で自身の存在をタブー視された主人公が、異母兄妹を孕ませた挙句に異母兄弟も殺害、やがてはその家族を皆殺しにする中、父一人子一人となった状況で父親の許しを請う衝撃のカットで幕を下ろすと云うもの。そんな衝撃の内容には只々絶句させられたが、何より驚かされたのは、史上最悪の愛憎劇と云ったネガティヴ一辺倒に終始する映像ではなかったと云う辺り。
見た目は明るく好青年の主人公エルヴィスの本音や心情については、娼婦だったと云う母親との母子家庭時代の凄惨な過去なども披瀝されずじまいのスクリプトでは推し量る事も難しい所。異母兄弟の殺害も計画的なものではなく、禁断の異母兄妹への接近についても、屈折してはいながらもある種純粋な愛情のように見えていたりもしたが、急転直下で迎える終盤での凶行に及ぶ中、殊更ややこしい様相を呈するエルヴィスの逸脱した感性を紐解いていたのは、他ならぬマックス・エイヴリー・リクテンスタインのスコアだった。
何気に仄々としたワルツを中心とするリクテンスタインのスコアだが、そのハードな内容とは相容れぬ印象の楽曲が示していたものは、他ならぬ主人公の心理的なコントラスト。要は、近親者の一家皆殺しと云う傍から見れば史上最悪の様相も、主人公にとっては全くそうではなかったと云う事。目標達成に於けるある種のペーソスを代弁するかのようなスコアが仄々と鳴り響く中、主人公は自身の子を宿した異母兄妹の息の根を止めていた訳だが、となれば、ここまでの描写で描かんとしていたテーマは何だったのかと云う事に。父一人子一人となった2人が互いの断罪を余儀なくされるクライマックスを目の当たりにすれば、そのテーマも明らかになる訳だが、その伏線として全編に描かれる「信仰」のくだりも見逃せない所。
大宇宙に息衝く生命が人間として進化を遂げる中、社会を形成しその行方を左右するのも、他ならぬ健全な形で成長を遂げた人間であり、一神教で説くような偶像などではない事を力説するシナリオだが、この辺りの重厚な描写が、現実的には掴み所もないような「子を儲ける事の責任」と云うテーマに厚みを加えていた事は確か。主人公の逸脱した感性を表現する仄々としたスコアも、結果的には見るもおぞましいシナリオを鑑賞にも耐えうるマイルドなトーンにしていた訳だが、やはり、終始スクリプトを引き締めていたのは、現実逃避こそがタブーの根幹と唱えるこの伏線的なくだり。究極の血生臭いスクリプトを、釈然とした問題を提起するドラマとして成立させていたのもこの辺りだった。
ただそれにしても、エルヴィスという主人公キャラはヘヴィーすぎる。主人公のような身上も社会では全く珍しくない訳だが、そんな人生の苦汁を舐めたような方々の場合も、そのポテンシャルは実にさまざま。大方の場合、苦労を知る人物は一皮向けるのも早い訳だが、一方では、ならぬ事はならぬと云う父性愛的な倫理観にも乏しい事から、エゴの強い甘ったれだったりする事も現実の話。人を殺める事も体よく正当化出来るエルヴィスの場合、そんなケースの究極の例だったと云えるが、何れにせよ、劇中で描かれる社会的なテーマだけを取り上げれば、やはり、このシナリオは掴み所がない。と云うより、相対的な問題は全てのケースで事情や度合いも違うので。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ジェームズ・マーシュ
James Marsh
クルーソー Crusoe (1989) (first assistant editor)
ハワーズ・エンド Howards End (1992) (associate editor)
キャリントン Carrington (1995) (first assistant editor)
Wisconsin Death Trip (1999)
The Team (2005)
キング 罪の王 The King (2005)
製作
Produced by
ミロ・アディカ
Milo Addica
* 脚本も兼任
ジェームズ・ウィルソン
James Wilson
キング 罪の王 The King (2005)
ショーン・オブ・ザ・デッド(未) Shaun of the Dead (2004)
製作総指揮
Executive Producers
エドワード・R・プレスマン
Edward R. Pressman
9.11 あの日を忘れない(未) The Guys (2002)
パーティ★モンスター Party Monster (2003)
ネバー・ダイ・アローン Never Die Alone (2004)
アンダートウ 決死の逃亡(未) Undertow (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
サンキュー・スモーキング Thank You for Smoking (2005)
ジョン・シュミット
John Schmidt
ソフィア・ソンダーヴァン
Sofia Sondervan
パーティ★モンスター Party Monster (2003)
キング 罪の王 The King (2005)
脚本
Written by
ミロ・アディカ
Milo Addica
記憶の棘 Birth (2004)
チョコレート Monster's Ball (2001)
キング 罪の王 The King (2005)
ジェームズ・マーシュ
James Marsh
* 監督も兼任
撮影
Cinematography by
アイジル・ブリルド
Eigil Bryld
To Kill a King (2003)
Oh Happy Day (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
キンキーブーツ Kinky Boots (2005)
Becoming Jane (2007)
編集
Edited by
ジンクス・ゴッドフリー
Jinx Godfrey
スパイス・ザ・ムービー Spice World (1997) (additional editor)
リービング・ラスベガス
 Leaving Las Vegas (1995) (assembly editor)
Wisconsin Death Trip (1999)
The Team (2005)
キング 罪の王 The King (2005)
美術
Production Design by
シャロン・ロモフスキー
Sharon Lomofsky
ビフォア・ザ・レイン Before the Rain (1994)
のら猫の日記 Manny & Lo (1996)
ノンストップ・ガール Committed (2000)
チアーズ! Bring It On (2000)
ピニェロ Piñero (2001)
ママの遺したラヴソング A Love Song for Bobby Long (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
衣装デザイン
Costume Design by
リー・ハンサカー
Lee Hunsaker
草の上の月 The Whole Wide World (1996) (costumer)
ニュートン・ボーイズ The Newton Boys (1998) (set costumer)
リストラ・マン(未) Office Space (1999) (set costumer)
デンジャラス・ビューティー
 Miss Congeniality (2000) (set costumer)
キング 罪の王 The King (2005)
音楽
Music by
マックス・エイヴリー・リクテンスタイン
Max Avery Lichtenstein
エデンより彼方に
 Far from Heaven (2002) (composer: source music)
アンドロイド(未) Puzzlehead (2005)
キング 罪の王 The King (2005)
挿入曲
Various Music
There Will Be Place in The Valley For Me - Dolly Parton
My Arms Belong To Jesus - Paul Dano, Charlie Sexton, Will Sexton and Tommy Taylor
Put a Little Love in It - Ike Reilly
The Mexican Whistler - Roger Whittaker
The Crystal Frontier - Calexico
Sad and Beautiful World - Paul Dano
Helplessly Hoping - Paul Dano
Before The Next Teardrop Falls - Freddy Fender
(Hey Won't You Play) Another Somebody Done Somebody Wrong Song - Bj Thomas
La Negra Tiburcia - Graciela Palafoxused
It's Alright To Die - Ike Reilly
Cold Irons Bound - Bob Dylan
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
ガエル・ガルシア・ベルナル
Gael García Bernal
Elvis Valderez アモーレス・ペロス Amores perros (2000)
天国の口、終りの楽園。 Y tu mamá también (2001)
ブエノスアイレスの夜 Vidas privadas (2001)
ウェルカム!ヘヴン Sin noticias de Dios (2001)
チェ・ゲバラ&カストロ Fidel (2002) (tv)
アマロ神父の罪 El crimen del padre Amaro (2002)
幸せになる彼氏の選び方 負け犬な私の恋愛日記(未)
 I'm with Lucy (2002)
dot the i ドット・ジ・アイ Dot the I (2003)
モーターサイクル・ダイアリーズ Diarios de motocicleta (2004)
トラベリング・ウィズ・ゲバラ In viaggio con Che Guevara (2004)
バッド・エデュケーション La mala educación (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
恋愛睡眠のすすめ La science des rêves (2006)
バベル Babel (2006)
デレク・アルヴァラド
Derek Alvarado
Scoot Love Math (2005)
キング 罪の王 The King (2005)
The Garage (2006)
ペル・ジェームズ
Pell James
Malerie Sandow ブラック AND ホワイト(未) Black and White (1999)
アップタウン・ガールズ Uptown Girls (2003)
キング 罪の王 The King (2005)
ブロークン・フラワーズ Broken Flowers (2005)
ゾディアック Zodiac (2007)
ポール・ダノ
Paul Dano
Paul Sandow 卒業の朝 The Emperor's Club (2002)
ガール・ネクスト・ドア(未) The Girl Next Door (2004)
テイキング・ライブス Taking Lives (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
リトル・ミス・サンシャイン Little Miss Sunshine (2006)
ローラ・ハリング
Laura Harring
Twyla Sandow ヘルブレイン 血塗られた頭脳(未)
 Silent Night, Deadly Night 3: Better Watch Out! (1989)
情熱のランバダ The Forbidden Dance (1990)
リトル★ニッキー Little Nicky (2000)
マルホランド・ドライブ Mulholland Dr. (2001)
ジョンQ 最後の決断 John Q (2002)
ディレイルド 暴走超特急 Derailed (2002)
ウィラード(未) Willard (2003)
パニッシャー The Punisher (2004)
ウエスト・オブ・ザ・デッド(未)
 All Souls Day: Dia de los Muertos (2005)
キング 罪の王 The King (2005)
ウォークアウト 勇気ある反乱 Walkout (2006) (tv)
インランド・エンパイア Inland Empire (2006)
ウィリアム・ハート
William Hurt
Pastor David Sandow アルタード・ステーツ 未知への挑戦 Altered States (1980)
目撃者 Eyewitness (1981)
白いドレスの女 Body Heat (1981)
再会の時 The Big Chill (1983)
ゴーリキー・パーク(未) Gorky Park (1983)
蜘蛛女のキス Kiss of the Spider Woman (1985)
愛は静けさの中に Children of a Lesser God (1986)
ブロードキャスト・ニュース Broadcast News (1987)
デスティニー 愛は果てしなく A Time of Destiny (1988)
偶然の旅行者 The Accidental Tourist (1988)
殺したいほどアイ・ラブ・ユー I Love You to Death (1990)
アリス Alice (1990)
ドクター The Doctor (1991)
夢の涯てまでも Bis ans Ende der Welt (1991)
プレイグ La peste (1992)
最高の恋人 Mr. Wonderful (1993)
セカンドベスト 父を探す旅 Second Best (1994)
脅迫(未) Trial by Jury (1994)
スモーク Smoke (1995)
ジェイン・エア Jane Eyre (1996)
カウチ・イン・ニューヨーク Un divan à New York (1996)
マイケル Michael (1996)
ギルティ・オブ・ラブ(未) Loved (1997)
ダークシティ Dark City (1998)
ロスト・イン・スペース Lost in Space (1998)
母の眠り One True Thing (1998)
4thフロアー(未) The 4th Floor (1999)
太陽の雫 Sunshine (1999)
小さな目撃者 Do Not Disturb (1999)
バイオ・ディザスター(未) Contaminated Man (2000)
デューン 砂の惑星 Dune (2000) (tv)
A.I. Artificial Intelligence: AI (2001)
チェンジング・レーン Changing Lanes (2002)
逢いたくて Au plus près du paradis (2002)
天国の青い蝶 The Blue Butterfly (2004)
ヴィレッジ The Village (2004)
フランケンシュタイン Frankenstein (2004) (tv)
キング 罪の王 The King (2005)
ヒストリー・オブ・バイオレンス A History of Violence (2005)
シリアナ Syriana (2005)
グッド・シェパード The Good Shepherd (2006)
ミロ・アディカ
Milo Addica
Bruno * 製作/脚本も兼任
ローラ・クリフトン
Laura Clifton
Murray ニュー・ガイ The New Guy (2002)
アラモ The Alamo (2004)
キング 罪の王 The King (2005)
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